真夏の編集筋トレ――43[花]師範代登板準備レポート

2025/09/04(木)12:00
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 43[花]はちょっと違った。ちょっと? いやいや、だいぶだ。来たる56[守]新師範代として20人を超える放伝生が名乗りを上げたのだから、そのぶっちぎりっぷりが想像できるだろう。こんな期はそうそうない。演習を行う道場でのスコアのみならず、道場とは別ラウンジの「編集術ラボ」での発言スコアも、ここ数期に比べ群を抜いていた。過去形や期待どまりではない。敢談儀後から冠界式(教室名発表)までの威勢のよい真夏の花トレ(自主トレーニング)模様をレポートする。


 

◎8月第1週――クールダウン不要、余韻冷めやらぬまま

 2日(土)の敢談儀後は、師範代登板に向けてのツールの相談や気持ち編集などで盛り上がる。
 9日(土)に花トレ会場がオープンすると、入伝式後の道場オープンの時のように西岡有美が真っ先に登場する。続いて、後藤有一郎、板垣美玲、翠川辰行、小名国仁、中田ちひろが指南計画をアップ。上々の滑り出しだ。

 

◎8月第2週――放伝生×師範による初のお題共読会開始

 最初の自主トレ指南をラウンジに投じたのは板垣。001番を指南する。後藤は待ってましたと言わんばかりに、11日(月)のうちに、001~010番の稽古ポイントをアップした。高橋剣も続く。互いに触発し合うのが43[花]放伝生のダントツだ。
 8月12日。松岡正剛校長の命日であるこの日、花伝所初の試みとなるお題共読会を開催。放伝生と[守][花]の師範陣あわせて30名が参加し、お題の奥深さと面白さに時を忘れ交わし合った。

 

◎8月第3週――盛りだくさんのイベントと共に

 第2週からコンスタントに指南自主トレを続けていた木佐陽は、本番さながらの1日4指南に挑戦。
 18日(月)。花トレ恒例の「オンライン速書き指南ワーク」開催。参加者は、過去最大の20名。ラウンジでの発言数も1日(2時間)で168を記録した。
 23日(土)の花伝エディットツアーでは、木島智子、杜本昌泰、三尾夏生、板垣、高橋剣の5名の放伝生がテーブルコーチとして参加。花伝所での体験を参加者へ語る姿はすっかり師範代だ。

 

◎8月第4週――つき始めた編集筋

 最終週になっても花トレラウンジは勢いを止めない。
 仕事で国内外を飛び回る永石あゆみは、深夜に出題練習&稽古ポイントを連打、グッビニ由香理は朝一番にお題研究を投稿する。机に座るより生活の合間時間で指南する方が、頭やわらかく言葉が湧き出てくる感じがすると言ったのは西岡だ。
 速書きワークの成果も感じつつ虫の目、鳥の目を使い対話の視点を広げるのは原田遥夏。家村吏慧子は最終日までに38番全ての稽古ポイントを作成した。岩崎大はカルテット、後藤はクインテット指南(まとめ指南)に挑戦した。

 

◎9月第1週――そして冠界式へ

 まだまだなり響く投稿音。中野恵介はコロナに罹患しても指南することをやめなかった。
 9月2日(火)、最後のお題共読会。23時過ぎに終了すると即、後藤、杜本、中田からフィードバックが届く。
「そもそも編集自体が自由へ向かうもの」(中田)
 新師範代たちは6日の教室名発表を待つ。

 


■43[花]放伝生が師範代登板する56[守]はこちら。

第56期[守]基本コース
【稽古期間】2025年10月27日(月)~2026年2月8日(日)
申し込み・詳細はこちら(https://es.isis.ne.jp/course/syu)から。

 

■20名を超える師範代を出した[ISIS花伝所]編集コーチ養成コースはこちら。

第44期[ISIS花伝所]編集コーチ養成コース
【ガイダンス】2025年10月5日(日)
【入伝式】2025年10月25日(土)
【開始日】2025年10月25日(土)
【稽古期間】2025年10月26日(日)〜2025年12月21日(日)
申し込み・詳細はこちら(https://es.isis.ne.jp/course/kaden)から。


 

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●真夏の編集筋トレ――43[花]師範代登板準備レポート

  • 大濱朋子

    編集的先達:パウル・クレー。ゴッホに憧れ南の沖縄へ。特別支援学校、工業高校、小中併置校など5つの異校種を渡り歩いた石垣島の美術教師。ZOOMでは、いつも車の中か黒板の前で現れる。離島の風が似合う白墨&鉛筆アーティスト。

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コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。