選書は急流? はたまたマグマ -九州の千夜千冊vol.2-

2025/06/20(金)08:10
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イシス編集学校九州支所「九天玄氣組」は今年20周年。発足会を行った秋をめざし、周年事業を進めている。軸となるのは「九州の千夜千冊」を冠した雑誌の発行だ。松岡正剛の千夜千冊から選んだキーブック1冊ごとに33冊のグループをつくる「三十三冊屋」という方法で組み上げる、正真正銘1000冊のブックナビ。本の可能性と九州らしさを浮き彫りにすべく、ただいま編集真っ最中。発刊まで3カ月半。

 

締切効果の前と後

5月30日、千夜千冊ブックナビ選書リストの第一次締め切り。九天チーム、イシス選書チームが選んだ33冊屋がお目見えした。
選書は基本、チームで進めているため、毎夜といってもよいほどZoom会議を開き、その本を選んだ意図や本同士の関係、33冊の構造について語り合った。
足りない本や未読の本を探して図書館を巡ったり、本のグルーピングをガラリと変えたりの急流の日々を経てのリスト提出だった。
  
リストを提出して終わりではない。締切翌々日に九天の選書リーダー会議を実施。選書リストをチェックし、意見を出し合い、各選書チームにフィードバックが行われた。
「もっと遊びを、連想を、飛躍を」「編集工学の香りがするか」「松岡正剛が選びそうな33冊になっているか」。それらの言葉が互いの刺激になり、次の締切に向かって各チームの再編集、再選書が始まった。

 

急流はマグマとなるか

実は、九州千夜選書のための特設ラウンジが立ち上がった半月後、イシス選書チームに強力メンバーが合流している。
校長直伝プログラム「世界読書奥義伝・離」で、離学衆を焚きつける火元組の5名だ。リスト提出に向けて、マグマのごとき選書が進行しているはずである。
 
「九州の千夜千冊」、どんなラインナップとなるか。ヒリヒリとお待ちいただきたい。


アイキャッチ/屋久島の照葉樹林と急流
 

  • 石井梨香

    編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。