何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

私の編集学校入門は、2007年の4月。その前年にあたる2006年は、ライブドア元社長の堀江貴文氏が証券取引法違反容疑で逮捕されるというセンセーショナルな事件からスタートしました。
同じインターネット業界とはいえ、私のいたIIJはインターネット接続料で収益を得るレガシーな接続サービスが中心で、ライブドアのような無料接続で集めたユーザーに情報を交換する場を与え、それに連動して掲示する広告料で収益を得るメディアサービスとは全く業態が異なっておりました。
しかし、当時はインターネットに繋がることはもう当たり前であり、2005年にはWeb2.0のような概念も登場し、ウェブをいかにして、新たな情報を生み出し発信するメディアとして活用できるかが価値の源泉になりつつありました。ライブドアのようなインターネットサービスのあり方が今後の主流になるのだろうなとぼんやり考えていた時期でした。
そんな時期に起こったライブドア事件は、前年にニッポン放送を買収しその子会社であるフジテレビをも傘下に収めて、インターネットを中心に据えたメディアコングロマリット構築を目指すホリエモンの野望を挫くべく企てられた、旧勢力による帝国の逆襲だったのかもしれません。
他方、本場アメリカでは、インターネット革命の波は確実に次のフェーズへと歩みを進めていました。2006年にGoogleの元CEOのエリック・シュミットは、誰でも不特定多数の人や企業に対して情報サービスを提供可能とするクラウドコンピューティングが、ウェブアプリケーションと個人データを集約するグローバルプラットフォームとして、世界を動かす新たな時代への移行を宣言しました。
私がそんな年の1冊に選んだのは、この大きな時代の流れを明快な切り口と平易な文章でズバリ予言したこの一冊です。
『ウェブ進化論 ー本当の大変化はこれから始まる』
梅田望夫著/ちくま書房、2006年2月
この時は、なんだか大袈裟なタイトルだなぁと半信半疑で読みましたが、まさにその後、本書に書かれていた以上の大変化が起こったことは周知の通りです。既に本書の内容は陳腐化してしまってはいますが、これから起こるであろうさらに大きな変化を読む目を自分も持ちたいものだと思い選びました。
私が編集学校の門を叩いたのは、そのような大変化の時代を迎える上で情報編集術が必須スキルとなっていくのではないかと考えたからでした。そう考えたのは、上記の本のおかげでもありますが、実はもっと大きなモチベーションを与えてくれたのが、2006年の12月に発売された、松岡校長の『17歳のための 世界と日本の見方』でした。
世界の歴史を縦に読むだけではなく、グローバルな因果関係を、ウェブのハイパーリンクよろしくダイナミックに横に繋いで見る視点はとても新鮮でかつ刺激的でした。
この本の出版が示唆するように、これ以降の編集学校は、いかにして世の中に浸透し、実社会とインタースコアするべきかを明確に意識し始めたのだと思います。まさに編集学校2.0が、ウェブの新時代の到来と同じ時期に始まっていたのです。
そして今年で20年を迎えて「大人になった」編集学校は、さらなる進化の方向性をしっかりと見据えて進み始める節目の年になるのでしょう。そんな大事な年を皆さんと共有できたことをとても嬉しく思います。
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:宮崎滔天
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
「杉浦康平を読む」読了式の続報をお届けします。 先月、山田細香さんが最優秀賞&学長賞のダブル受賞を果たしたニュースはすでにエディストしました。ですが、授賞の舞台はそれだけにとどまりません。方源(穂積晴明)賞、武蔵美・杉浦 […]
【全文掲載】最優秀賞&学長賞W受賞は山田細香 多読SP「杉浦康平を読む」
満面の笑みで、ガッツポーズ! 世界陸上のワンシーンではない。 2025年9月14日に開催された多読スペシャル第6弾「杉浦康平を読む」の読了式で山田細香さんが最優秀賞&学長賞をダブル受賞した際の一幕だ。 山田さんの […]
ISIS co-missionミーティング開催! テーマは世界読書奥義伝[離]
本日、ISIS co-missionミーティングが開催され、イシス編集学校のアドバイザリーボードが豪徳寺・本楼に集結した。 メンバーは、田中優子学長(法政大学名誉教授、江戸文化研究者)をはじめ、井上麻矢氏(劇団こまつ座代 […]
11月は別典祭へいこう! 二日限りの編集別天地? 【11/23-24開催】
2025年11月23日(日)・24日(月・祝)、イシスの新しいお祭「別典祭」(べってんさい)を開催します。 場所は編集工学研究所ブックサロンスペース「本楼」、主催は多読アレゴリア。ですが、多読アレゴリアのメンバーでなくて […]
【2025秋募集★多読アレゴリア】「別典祭」ダイダイ大開催!!!! イシスの新しいお祭り?
読書の秋はアレゴリア。イシス編集学校とっておきのブッククラブ「多読アレゴリア」2025年秋シーズンの募集がスタートします。秋シーズンの会員期間は2025年9月1日(月)から12月21日(日)です。 秋シーズ […]
コメント
1~3件/3件
2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。