何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

師走といえば、忘年会?いや、忘れてはいけないのは大掃除。最近はアウトソースが流行っている。プロに頼むと結局はコスパ・タイパがよいということらしい。が、しかし冬至の12月22日(金)に豪徳寺ISIS館に集合した面々にそんな言葉は必要ない。この日に開催された年末恒例の本棚の煤払い、名付けて「本どこ屋」は待ちに待った行事なのだ。
◆本棚空間を満喫する
何が楽しいのか?お目当てのひとつは本棚空間に会って浸ること。実はこのISIS館、編集学校のロールを持たない者は、なかなか立ち寄れない場所でもある。約6万冊とも言われる本の館を自分の場にできる貴重な機会を逃すなんてもったいない。
この「本どこ屋」、目的は本棚の大掃除と本の配架し直しだが、広い棚の中の細部は担当した者に任される。分類も並びも担当者の注意の向き方次第だ。よって、自分の本ワールドを作れる。高いところは脚立に昇って作業する。その不安定さもいい。本に手が届くとその棚から届くメッセージが脳内を駆け巡り始める。思わず表紙を開けば、文字とマーキングに目を奪われて仕事が進まないので要注意。並べる順序に悩むと更に時間がかかる。「この本はさっきのとテーマが似てる、時代はどっちが先か。高さも揃えたい。横置きにした方が映えるかも・・」考えた末、ぴたりと段に収まった本棚の姿を遠目に見て自己陶酔する者もある。エプロンに軍手、雑巾を持って靴を脱ぎ、椅子や脚立に軽やかに上る有志らのソージ姿は頼もしい。
◆校長とお茶の時間を過ごす
彼らのもうひとつの楽しみは、もちろん校長に会うこと。
休憩時間に現れた松岡正剛の姿に、やや緊張しつつも喜びで緩む表情が本楼にあふれた。「今年は大変だったね」世間を騒がす事件に関わった者を見つけてそっとかける松岡の声が穏やかで優しくて、場の空気はまた、あたたまる。
休憩後も校長には仕事がある。今年一年で増えた本たちの分類だ。松岡正剛の脳内より直接出る指令に嬉々としてみんな動く。本を抱えて、これは2階の応接室の裏の本棚、これは階段の踊り場あたり、とISIS館の巨大パズルを完成させるために旅立つ足取りは軽やかだ。
◆ダブり本をお持ち帰り
朝10時に始めた大掃除が終わったのは19時過ぎだった。本棚劇場にダブった本がいっぱいに並べられる。好きな本を持ち帰れるとは!と場がざわめく。なんて素敵なご褒美づくしの大掃除だろう。
時間をかけて何冊ものお土産本を選んだ本好き達が、大きな荷物を持ってISISの館を出たのは22時過ぎだったらしい。
安田晶子
編集的先達:バージニア・ウルフ。会計コンサルタントでありながら、42.195教室の師範代というマラソンランナー。ワーキングマザーとして2人の男子を育てあげ、10分で弁当、30分でフルコースをつくれる特技を持つ。タイに4年滞在中、途上国支援を通じて辿り着いた「日本のジェンダー課題」は人生のテーマ。
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コメント
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2025-10-02
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2025-09-24
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