何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

「どうしてこの本があるんですか」ナビゲーターの上杉公志師範代の頬はかすかに上気した。
ある参加者がテーブルに置いたのは『世阿弥の稽古哲学』。イシス編集学校の編集コーチ陣必読書だ。しかし、今は伝習座でなく目次読書術のワーク中だし、ここは山梨県立図書館であってゴートクジの本楼ではない。
「あれえ、どっかでみたことあるなあ」と目を丸くしたのは、テーブルコーチを務める宮川大輔師範代。県立図書館に足しげく通う彼にさえ、この本と山梨の関係性は未知だった。
山梨県立図書館に山梨にゆかりのある本をとりまとめたコーナーがあることを活かし、ここから本を選んで目次読書しよう、というのがきょうのメインワークのはじまりだった。ワイン、富士山、温泉など山梨が誇る地域資源に関する本はもとより、山梨にゆかりのある著者の本が集められている。
イシス編集学校の守・破を終えると「インタースコア編集力」を身につける「花伝所」というコースが現れる。このインターチェンジを経た学衆(イシス編集学校では受講生をこう呼ぶ)が、情報だけでなく、人と人をつなぎ、場をダイナミックに動かす編集コーチとしての第一歩を踏み出すのだ。そこでの必読書が世阿弥の『風姿花伝』を精査した『世阿弥の稽古哲学』。
「なんとなく今日っぽいかと思って」と、この本を選んだ石丸さんは肩をすくませる。新規事業開発に携わりながらインプロ(即興劇)を学ぶ場をひらいている彼が、この場を「本」という”古(いにしえ)”を”稽(かんがえる)”リアル花伝所に見立ててくれた。
この日の目次読書は、1冊を読み切り「しゅはりよし」の型で要約編集を行い紹介しあったあと、ペアワークで2冊にプラスワンを加えるハードなもの。しかし、ここまで「おかしな自己紹介」「地と図」「ワインを連想で言い替える」で存分に編集モードを加速させた8名の参加者はもはや無敵だ。「自分の読みのブラウザーを立てましょう」と語りかける上杉に呼応し、本を隅から隅まで受動的に読み切るのでない大胆な読みで、本と自分のあいだを見事に編集した。
目次読書のあとは、2冊の本にプラスワンして関係性を見出すペアワーク。木彫りのサイやストランドビーストなどの奇想天外なアイテムをさまざまに見立て、連想し、編集思考素で関係性を結ぶワークを楽しげにクリア。3時間半におよぶ甲府エディットツアーはかくして終幕を迎えた。
written by 内田文子
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
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作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
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