京娘三人羽織は、はんなりしたはった?

2020/08/23(日)20:58
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 えらいはんなりしたはりますなぁ。
 床の間をバックに浴衣姿の師範・福田容子はいつもよりかなりはんなり(通常比2.5倍)で、ナビをつとめた。その福田をサポートするのは梅澤奈央、阿曽祐子の両師範代。大阪天満育ちで京都在住20年の福田、京都在住10年の阿曽、大阪在住10年の梅澤と京女もどき三人娘。
 
 
 地の京都人ぽさが出ない分と、しつらえには目一杯張り切った。会場は明治の元勲・山縣有朋ゆかりの無鄰菴。東山を臨む日本庭園の中の茶室である。浴衣の福田が庭園から案内をし、茶室に入りツアーが始まった。
 
 

 この日のために用意したワークは名づけて「気長にはんなり編集稽古」。いらちでせっかちな福田にしてはかなりの譲歩である。ところが始めてみると、やはり破師範、離別番緑を何期もつとめた福田である。緑色のもの、夏らしいもの、他の家にはないものを次々ともって来させる。

 参加者がモニター越しにもってきたものを紹介しよう。
●緑色のもの
ゴキジェット、ハイター、ネイル、カーディガン、ジュンク堂のボールペン、多肉植物、梨とメロンの緩衝材、ブランケット、本の結び、阿蘇山噴火のティッシュ箱

 
●夏らしいもの
風鈴、素麺、カルピス、レモン酢、ヒマワリのネイル、帽子、ハートランドビール、梅ジュース、ハッカ油
 
●他の家にはないもの
ネイル練習用の手、仏像とバレエシューズ、眠たそうな熊の人形、エイリアンラーメン、カバキーニョというブラジルの楽器、
 
 参加者の回答に対して、梅澤、阿曽が軽妙にチャットで茶々、いやコメントを入れる。ゴキジェットには台所の「スナイパー」、カーディガンには「恥ずかしくて着られないほど緑」とツッコミ、「注意のカーソル、目線の向け方が秀逸ですねえ」「食べ物というフィルターで出しましたね」と方法の言葉を差し出す。余談ではあるが、参加者の回答で、阿蘇山噴火のティッシュ箱、熊本天草のバラモン凧という、京都らしさを全く無視した回答を投げ込んできた闖入者はオブザーブの植田フサ子師範である。(熊本愛溢れるエディットツアー熊本は9月5日開催予定)
 
 福田が、京都人らしさとして取り出したのが、スケールの大きな気の長さである。例えば、以下のような記事がある。
 
産経新聞:
 
京都新聞:
 
 なんせ気の長さが100年単位なので世代をどれだけまたいだら気ぃすむんかいという話だ。参加者が持ち出したものからさらに古っぽいもの、さらに古っぽいものへと不等式編集術のワークで座をしめると、笑顔の福田が「またきておくれやす」と一人また一人と退出する参加者を見送った。
 
 
 京都人らしさには「気の長さ」の他にも「遠回し」や「いけず」などがある。新たな京都編集術が、次回の京都エディットツアーではきっと開陳されるだろう。あと半年、気を長うしてお待ちいただきたい。

  • 吉村堅樹

    僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。