何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

五色の衣から二十の世界に着替え、56[守]へ走りだした。
今期の花伝所は勢いがあった。第88回感門之盟・放伝式冒頭で所長・田中晶子に「なつく」と評されたように、放伝生たちは、師範から技を盗もうと、何度も応答を繰り返し、どこまでも知と方法を追い続けた。その姿に感化され、師範たちも指導に熱が入った。長年花伝所に携わる、43[花]くれない道場の花伝師範・吉井優子は、1273という道場での発言数は、過去一だという。
そんな放伝生を代表して、やまぶき道場からトージ瀬戸際教室に乗り換えた、杜本昌泰師範代が武者震いしながら、決意を述べた。
『インタースコア』(春秋社)に、“とくにぼくが重視する編集は「境い目」を超えるときに最も劇的にあらわれる”、という校長の言葉が記載されている。それを千夜千冊443夜『五輪書』では、“渡をこす”と表され、“「渡」を越したかどうかを体や心でわかるべき”と書かれている。杜本は、花伝所の経験をそれに重ねた。指南を書き、指導が入っても、まったく出来ている気がせず、手も足も出なかった。しかし、夢中になって演習をすすめ8週間たつと、手足が少しずつ出るようになっていた。みなそれぞれが渡を越す瞬間があり、それを身体と心で感じるものだった。渡を越すことに全身で全力を尽くした、と振り返る。
そして、意味に飢える社会で、師範代になることに意味がある。意味が欠如した世界は、編集を要している。編集工学に魅せられた皆と共に、校長の共伴者となって、感と応を全開にして別様を介していく存在になりたい。ここまで編集工学をつないでくださった、学林局や学匠、番匠、花目付、師範のみなさまに感謝したい、と締めくくった。その言葉に、その場に居合わせた[破]番匠・白川雅敏は、「嬉しいね」と思わず漏らしていた。
杜本は、冠界式で名前を呼ばれると、壇に上がる前に本楼の校長の祭壇に一礼していた。そこで、校長と共に走る意志を伝えたのだろう。編集工学を継ぐ師範代として、カマエ直した。
アイキャッチ・文/中村裕美(43[花]錬成師範)
イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
3000を超える記事の中から、イシス編集学校の目利きである当期の師範が「宝物」を発掘し、みなさんにお届けする過去記事レビュー。今回は、編集学校の根幹をなす方法「アナロジー」で発掘! この秋[離]に進む、4人の花伝錬成師 […]
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「物語を書きたくて入ったんじゃない……」 52[破]の物語編集術では、霧の中でもがきつづけた彼女。だが、困難な時ほど、めっぽう強い。不足を編集エンジンにできるからだ。彼女の名前は、55[守]カエル・スイッチ教室師範代、 […]
コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
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2025-09-24
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