何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

遅れて繋いだ突破後のzoom汁講、最初に耳に入ったのは山本ユキ師範代の檄だった。
クロニクル番外お題として今期新登場の「全然アートなわたし」へのエントリー者が少ないことが原因のようだ。普段は優しい先生が木のモノサシで黒板をビシッと叩き睨みを効かせる。学衆仲間二人(河野智寿、一倉広美)は提出済なので、私ひとりが教壇の横に背筋を真っすぐにして立っている。目をキョトキョトしながら「ごめんなさい。僕、書きます」と心の中でつぶやいた。そう、私は女性にめっぽう弱いのだ。
女性に弱い性分は母の影響が強い。仕事でいつも疲れている母。イライラをぶつけてくる母。そんな母から逃れる術はひとつだけ。大人しく従うフリ。学級委員、学芸会での主役、選抜駅伝も母に止められたがやり遂げた。しかし「あなたには無理。変わってもらいなさい」と応援されず、心に寂しさが影を落とす。それゆえ、世間で出会う優しい女性、応援してくれる女性にすこぶる弱くなったのだ。
ユキ師範代の目の奥にある「あなたにはできる。がんばれ」という声に背中を押されてできた「全然アートなわたし」。それは私を憧れの本楼に導いてくれた地図でもあった。ユキ師範代は仕立ての女神だったのだ。
振り返ると、高校受験、バイト先、〇〇の学校で私は様々な女神に助けられてきた。お題への回答にも所々に女性がキーになっていた。「全然アートなわたし」によって幼心が再編集されていく。次は花伝所。どんな女神に出会うのか楽しみだ。
記事: 中川治靖(48[破]オリーブ・ビリーブ教室)
編集:師範代 山本ユキ(48[破]オリーブ・ビリーブ教室)
師範 華岡晃生
華岡晃生
編集的先達:張仲景。研修医時代、講座費用を捻出できず、ローンを組んで花伝所入門。師範代、離を経て、[破]師範に。金沢のエディットドクターKとして、西洋医学のみならず漢方にも造詣が深い。趣味は伝建地区巡り。
分断された診察室 総合診療医として患者と向き合う日々の中で、違和感を覚えることがあった。症状を診断し、薬を処方し、経過を観察するこの一連の流れは確かに医療として機能している。しかし何かが欠けている。患者の […]
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。