何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

師範は教室には見せない師範代の姿を知っている。だから、第78回感門之盟の卒門式と突破式で、学衆達に言葉を送る師範代を見守る目はやわらかで温かい。稽古期間は約4ヶ月。暑さが残り扇風機が手放せない季節から、雪がちらつき炬燵から出られない季節へ変わる。この長期間、フラットでいることは難しい。師範代にも色々なことが起きる。
ある師範代は仕事との時間編集がうまくいかず、指南が遅れがちになった。それを取り戻そうと「得番録のコメントをやめようと思う」と話すと、いつもは「それでいいと思う」と丸ごと包んでくれる師範に「それだけはやめよう」と諭される。ある師範代は「教室に回答は届くが、その前の雑談のマクラがない」と不足を漏らす。師範はすかさずそれを拾い上げ、「マクラ投げ大会をしよう!」と差し入れを行う。そしてある師範代は最愛の人を亡くす。多くを語ると学衆を心配させてしまう、と師範に事情を話し、少しの間教室を抜けた。指南が止んだ静かな教室に現れた師範は師範代の意思をくみとり、多くは語らず、しかし学衆の稽古の足止めをしないよう言葉を残した。
学衆は、一度は誰でも考える。師範代はいつ寝ているんだろうと。「みなさんの回答が面白くて」なんて明るく返すが、立ち止まりたくなる瞬間があったであろう。不安や不足を露呈しすぎると学衆達にも不安が広がってしまう、と師範代達は水面下でバタつく足を見せないのだ。しかし師範は教室には見せない師範代の姿を知っている。師範代を、そして教室を陰でそっと支えている。
「畑本だから仕方ないよね」
「いつもトンネリアン教室」の師範代畑本に感門の言葉を送る際、思わず目を潤ませた師範景山にかけた校長の言葉だ。
そう、ずっと見守ってきた師範代が無事感門を迎えたとき、涙してしまうことは仕方がないのだ。
文:中村裕美(47[破]泉カミーノ教室)
編集:師範代 山口イズミ、師範 新井陽大(47[破]泉カミーノ教室)
撮影:中村裕美、上杉公志
▼番記者梅澤コメント
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
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作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
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