何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

今日は一年の始まりとされている春分の日。頼りない日差しのもと、肌寒く感じる。
さあ、「感門之盟」という名の劇場が開幕した。画面越しにバニー師範、堀田師範代とお会いしつつも、これからその劇場に足を踏み入れるべく家を出た。普段だったらきっと引き受けないであろうインタビューに二つ返事でお答えしたのは、花伝所の田中所長からお声掛けいただいたこと、そして師範と師範代に直接お礼を伝えたかったからだ。引き受けたものの、辺りが薄暗くなる中、心細さも強くなっていく。黒い建物に足を踏み入れるべく中を覗き込むと、中から同じように人がのぞいている。
扉を開けると、所せましと置かれた本や物たちが生きているかのように迫ってくる。ここが本楼。想像していたよりも小さく感じた。それもそのはず、人の波が幾重にも連なり、天井いっぱいまで本で埋もれている。おもちゃ箱をひっくり返したかのような不思議な空間だ。ここが感門之盟の舞台。お互いを讃えあい、励ましあう。歓喜の輪がこだまし、感情の波があちこちに生まれる。空間そのものが生きているように思えた。
目を泳がしていくと、斜め横にアイヌの衣装に身を包んだ堀田師範代がいる。ようやくお会いできた。突破証とセッケンをいただく。ああ、バニー師範も声をかけてくださった。花伝所のインタビューの出番が来た。用意していた質問を全部忘れてしまい、とっさに学衆と師範代の違いを質問する。田中所長は「学衆も師範代も学び続けていくのよ」とおっしゃった。どこにいても何をしても、編集を忘れない限り、学びという旅は続いていく。
最後の松岡校長による校話。同じ空間に居合わせるこの瞬間を噛みしめる。ふと周りを見渡すと、皆がメモを用意し、一つも聞き逃さないよう耳を傾けていた。貪欲で熱狂的。どんなに素敵な言葉を並べても追いつかないぐらい、人を魅了する何かがここにはある。ふと思う「私もいつかここに戻ってこれるだろうか」。
お二人に見送られながら、玄関の扉を開けると、先ほどまでの熱気がうそのように静まり返っていた。グっと力を入れて歩きだした道は夜空の下で輝いて見えた。あれは日常に突如現れる別世界だったのかもしれない。だが、私は確かにその扉を開けたのだ。
文:山田環(47[破]万事セッケン教室)
スクリーンショット:畠山義秀(47[破]万事セッケン教室)
編集:師範代 堀田幸義、師範 新井陽大(47[破]万事セッケン教室)
▼番記者梅澤コメント
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
方法の学校は、ここしかない。世界で唯一の学校【ISIS co-missionメッセージ 井上麻矢×田中優子】
イシス編集学校アドバイザリーボード ISIS co-missionメンバーより、これから「編集」を学びたいと思っている方へ、ショートメッセージが届きました。なぜ今、編集なのか、イシス編集学校とはなんなのか。イシスチャンネ […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 10月は開講ラッシュの月。基本コース[守]、応用コース[破]、師範代養成コース[花伝所]、技法研鑽コース[遊] […]
【プレスリリース】「思考の武器、表現の食器、発想の楽器」を手に入れる。生成AI時代を生き抜く「編集力」を38の思考の型で鍛える基本コース第56期[守]、10月27日に開講。
株式会社編集工学研究所(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:安藤昭子)が運営するイシス編集学校は、インターネット上で24時間いつでもどこでも「編集術」を学べる学校として、2000年に開校、25周年を迎えました。 […]
第89回感門之盟「遊撃ブックウェア」(2025年9月20日)が終了した。当日に公開された関連記事の総覧をお送りする。 イシス校舎裏の記者修行【89感門】 文:白川雅敏 本を纏う司会2名の晴れ姿 […]
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
コメント
1~3件/3件
2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。