何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

今回の伝習座では、師範代に新たなお題が与えられていた。
自分史を1枚に図示するビジュアルクロニクルの作成である。グラフィックデザインを生業とする野嶋真帆番匠が杉浦康平さんの『味覚地図』『時間のヒエラルヒー』も使いながら、お題のねらいを説明する。
「一般的な歴史の読み方をテキストからグラフィックに移すことで、別の読み方を発見できることを実感して欲しい」。
野嶋番匠による師範代のビジュアルクロニクルへの指南は、穏やかな口調ながら鋭い全体講評から始まった。
「それぞれに工夫がされているが、オーダーや流れが読み取りにくく、クロニクルになりきれていない」。
一枚の絵としてまとめるだけでなく、クロニクル=年代記として読める図象にする意識の必要性を説く。
「一本の糸でなく、複数の糸を縒り合わせることで歴象のつながりを見せてはどうか」
「もう少しで杉浦康平レベル。けれども、流れが分かりにくい」
「面白い歴象なので、テキストを強調しないともったいない」
「メタファーを使うのであれば、その必然性を際立たせた方がよい」
野嶋番匠の身体化された方法が言葉として再編され、具体的なアドバイスとして手渡されていく。これらのアドバイスを受け、師範代のビジュアルクロニクルは汁講や勧学会でお披露目を目指し、さらに磨きがかけられる。
このお題は48[破]から番外お題「全然アートなわたし」として出題されており、今期も学衆はビジュアルクロニクルに挑戦できる。多様な自分史図像の共読が楽しみな49[破]になりそうだ。
写真:後藤由加里
▼49[破]残席僅少
きたはらひでお
編集的先達:ミハイル・ブルガーコフ
数々の師範代を送り出してきた花伝所の翁から破の師範の中核へ。創世期からイシスを支え続ける名伯楽。リュックサック通勤とマラソンで稽古を続ける身体編集にも余念がない、書物を愛する読豪で三冊屋エディストでもある。
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。