何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

「やっぱり教祖化するのか」。そうつぶやいたのは、44[守]菫色アビシニアン教室の大泉健太郎さんだ。疑念を消せぬままではあったが、好奇心を抑えきれず、“師”が創設した学校の門を叩いた。そこで彼を待っていたのは・・・
~◎~
芸術大学でデザインを探求する大泉さんが、新しい価値の創出を目指す前衛に出会い私淑しはじめたのは四半世紀前。だが、その師と仰いだ人物が学校を創ったことを知り失望することに。師とは松岡正剛であり、学校とは編集学校である。そうはいうものの、師は気になる存在でありつづけた。たまたま覗いた編集学校のホームページで、募集中の守コースが自らの年齢と重なる44期だったことに運命を感じ入門を決意する。
現在は高校でデザインを教える大泉さん。守コースがはじまるや、仕事にも活かせるかもしれないし、と自分を納得させていた言い訳はふっとんだ。菫色アビシニアン教室での舟本師範代との編集稽古に魅せられ、“ダーティーハリーのマグナム弾のような回答”を放ちたいと息巻いた。
ごっこ遊びでルールをつくりだす子どものように、出題されたお題を自由に読み解き、斬新な回答を届けつづける。その遊びぶりの秘密が開陳されたのは、汁講というオフ会の場だ。大泉さんが持参したノートには、師範代の指南を受け回答を重ねる際に、色を変えて重ね書きした推敲の十二単が残されていた。開帳された編集曼荼羅に一堂が息をのんだ。
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教室名の由来でもある宝塚歌劇団が好きな舟本師範代は、そんな大泉さんのマグナム弾を事もなげに受け止める。回答を朗唱する学衆がそろった『花とゆめ』に紛れ込んだゴルゴ13は、重量級の回答に昼夜を問わず指南を撃ち返してくる師範代というロールの不思議にもうずうずし始めている。
本楼での9教室合同大汁講で編集術を駆使してプレゼンする大泉さん
疑いが晴れたからか、汁講後の懇親会の席ではいつも以上に酒が進んだ。「指南をするともっと編集を楽しめるよ」との師範の囁きに、大泉さんはクイッと酒をあおりながら、「師範代をやると酒が飲めなくなりそう」と屈託なく笑った。
白川雅敏
編集的先達:柴田元幸。イシス砂漠を~はぁるばぁると白川らくだがゆきました~ 家族から「あなたはらくだよ」と言われ、自身を「らくだ」に戯画化し、渾名が定着。編集ロードをキャメル、ダンドリ番長。
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。