「地図」を手に38のお宝探し─51[守]

2023/05/15(月)22:24
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ゴールデンウイークがあけ、立夏を迎えた5月8日、編集学校の入門コース[守]が開講した。

 

鯉が滝を登って竜になる「登竜門」伝説に見立てた[守]アイコンに相応しく、19ある教室のあちらこちらで学衆の声が響き渡る。

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  • エンジンスロットル全開で、ななめ45度の展開を期待します。
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  • 編集という行為を通して、新しい世界認識を手に入れられることに期待しています。
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  • どのような化学反応が起こるのか全く未知数ですが、楽しんで参加していきたいと思います。
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  • 遊び方を学ぶ、皆様と交流し思考を深める、の二つを目標にイシスで生きていきたいと思います。

 

51[守]の師範代は編集稽古の「地図帳」を自作で用意している。編集稽古に使われるお題のすべてをマッピングし図解したものだ。

 

講座には38の共通のお題が用意されているが、師範代が用意した「地図帳」はひとつとして同じものはない。それぞれの教室を【地】にした編集稽古の新しい意味づけだ。

 

編集の型【地と図】

 

「地」(ground)は情報の地模様

「図」(figure)は情報の図柄

 

情報(=図)をどのような背景や場面や文脈(=地)に置くかで、その情報の意味や見え方を大きく変えることができる。

 

編集術は情報の見方を自由にする。言葉もしぐさも歴史も記憶も、あらゆるものを「情報」としてとらえる。師範代はお題をも「情報」としてとらえ、[守]の稽古の道のりを示す「地図帳」をつくりあげた。

 

ダブル・ヴィジョン教室の重廣竜之師範代は、一本の大樹をキャンバスにして、稽古の節目や関係するお題のネットワークを表現した。いくつかの枝に施した「擦れ」の効果は、“one”と“another”の二重のヴィジョンを思わせる。

 

分人庭師教室の鈴木哲也師範代は、お題を情報の「アケ/フセ」で分類しV字に配置して左右に対比させた。庭師の剪定鋏を思わせるV字の形は、情報を取り込む大きな器のようでもある。

 

師範代は教室を【地】にして、これから展開する稽古模様を仮の【図】として描いた。

 

この大筋のストーリーを携え、師範代は学衆とともに編集稽古の旅をくりひろげる。最短距離を行くナビゲーションなどいらない。編集はまわり道だって歓迎だ。

 

学衆たちはそれぞれの教室で天を仰ぐ鯉のごとく、いきいきと情報の滝を登り始めた。教室ごとに用意された「地図帳」に稽古の足跡が刻まれる。

 

編集稽古によって教室の【地】も【図】も更新されていく。51[守]の15週間の旅は始まったばかりだ。

 

 

アイキャッチデザイン:阿久津健

  • 阿部幸織

    編集的先達:細馬宏通。会社ではちゃんとしすぎと評される労働組合のリーダー。ネットワークを活かし組織のためのエディットツアー も師範として初開催。一方、小学校のころから漫画執筆に没頭し、今でもコマのカケアミを眺めたり、感門のメッセージでは鈴を鳴らしてみたり、不思議な一面もある。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。