何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

毎月公開されるEdist記事は30本以上! Edist 編集部メンバーたちから、見逃せない ”イチオシSelection” をお届けします。遊刊エディストをさらに楽しむ「エディスト・セレクション」、どうぞ。
◎遊刊エディスト編集部◎ 吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範代、松原朋子 師範代
─ キャラ立ちスコアでPick!
⦿【このエディションフェアがすごい!36】MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店(大阪市)
ブラタモリ好きは、この記事にハマること間違いありません。
エディションフェアの記事は、全国のエディスト記者がプチ観光案内をしてくださっていますが、なかでもこれは「専門家といっしょに街歩きしたい!」という夢が叶います。一級建築士の山田細香師範が、安藤忠雄建築の《らしさ》をどう読むのか、気になりませんか。
「総合設計制度を採用した公開空地」「低層部は台形に近い五角形平面」などテクニカルターム満載の表現は声に出して読みたいほど。この記事に見る書き手のキャラ立ちっぷりを見ると、《語り手の突出》というのは、自分語りをすることではなく、自らの見方を臆せず打ち出すことだとわかります。
じつは細香師範の趣味は、戦後住宅の模型を作ることなんだとか。
▲1945年から65年ころに建てられた日本の小住宅の模型(山田細香作・提供)
なぜ戦後住宅なのか?その技量は棚づくりにどう活かされたか? それは10月4日まで開催されていたMJ梅田店のフェア記事で謎解きください。
通常1店舗1記事のフェアですが、このMJ梅田店は5本の記事が上がりました。過剰な熱こそ、大阪です。竹島陽子師範による「これは祭りではない。もはや一揆である」という記事では、7chaの法則でプランニングを分節化。
大音美弥子冊匠もフェア開始直後、21冊のエディションの分類軸に注目した「エディションをち・ま・つ・りで分ける」を即アップ。また大阪の設営チームの指という断然点に注目した「ピラニアたちの指」など手フェチには必見の記事も生まれました。やっぱり大阪ダンゼンです。──梅澤 奈央
およそ半年ぶりの「OTASIS」です。待ってました。展示構成がオノマトペ尽しの「ざわつく日本美術」展にもものすごく興味を惹かれるけれど、《松岡正剛がつねづね説いている編集の極意「伏せて開ける」の効能を、目にもの見せてわからせてくれるような展示であった》と松岡校長の方法、編集工学の視点から解説する太田香保総匠ならでは文のカマエとハコビが面白い。ミュージアムの企画にも、それをエッセイする香保総匠の構成にも「型」が息づいている。──金 宗代
⦿イシス人インタビュー☆イシスのイシツ 【魔法使いな植田フサ子】Vol.10
羽根田さんの連載が10回でひとまずの区切りを迎えました。
植田師範は紛う方無き「キャラ立ち師範」の一人ですが、丁寧な聞き取りから、ご本人の可愛らしさと凄みを彫琢されていて、さすがのお手際だと感じました。
よく言われる「アツい」という評価を、表面的に振り回すでもなく、ムキになって拒絶するでもなく、そのラベリングとご本人の距離感を示すとともに、校長の書とともに「やっぱりアツい」と着地させていくのって、かなり繊細な舵切りで書いていらっしゃるんじゃないでしょうか。
感門記事でもご活躍くださいましたが、またどこかでぜひ、羽根田さんの丁寧な取材記事を読みたいなと思います。──川野 貴志
マツコ’s Plus One
羽根田月香さんによる「イシス人インタビュー☆イシスのイシツ」シリーズ
4 後藤’s イチオシ!
多読ジム三冊筋プレスSeason06「旅する3冊」も金代将のつげ義春をもって連載完走。それぞれの読書旅も多種多彩で、一気に海外へ飛んでしまう人、地に足をつけて日本を歩く人など旅のスタイルが異なるところが面白い。
中でも相部さんの《旅》には一際ワクワクしました。
冒頭から黄金時代のパリへひとっ飛び。そこには芸術家が集まるカフェがある。ウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』を見ているような気分でいたら、そこから一気に昭和東京のカフェーへ。パリのカフェを模した日本のそれはエロも売る場所でもある。「カフェ」と言う「図」は「地」によって大変貌を遂げていることの意味を考えているうちに今度は十八世紀ヴェネチアの風景。相部さんとレニエが見た景色を須賀敦子も見ただろうか、など読者の妄想旅もどこまでも広がっていく。
パリ・東京・ヴェネチアと時空間を鮮やかに繋いでいく夏休みの大旅行のような三冊筋プレス。《旅》という非日常が恋しい貴方へ、オススメです。── 後藤 由加里
マツコ’s Plus One?!
⦿ 輪読座】柳田、「口承文芸」なる方法をブルターニュより取り入れる(「柳田国男を読む」第四輪)
バジラ高橋による輪読座「柳田国男を読む」第4回のレポートです。
輪読座では、この春から宮原由紀さんが運営スタッフに加わり、当日のZoomサポートやエディストへのレポート記事を担当してくださっています。
今回の宮原さんの記事は、柳田の民俗学のモデルとなったとされるフランス人の民俗学者ポール・ゼビヨが登場。柳田をして「一国の民間伝承を採集保存し、比較し整理する方法をセビヨからもらった」と言わしめたセビヨの方法とはどのようなものだったのか? バジラ高橋の貴重な図象資料も必見モノですよ。
ちなみに、気になる10月からの輪読座は道元なのだそうです!
宮原さんのこれまでのレポートはこちら↓
今まで知らなかった柳田を発見できるはずです!
【輪読座】21世紀にもつながる柳田國男の方法とは?(「柳田國男を読む」第一輪)
【輪読座】農業政策から民俗学へと辿る柳田の思いとは(「柳田國男を読む」第二輪)
【輪読座】柳田の方言周圏論はどう生まれたのか(「柳田国男を読む」第三輪)
── 上杉 公志
⦿花伝所出ると優しくなれる? 写真でわかる「イシス式指南術入門」開催 【36[花]受付開始】
イシスには2つの奥義がある。離が世界読書奥義伝だとすれば、花伝所は方法の奥義を手に入れる場所である。方法の奥義として、リバース・エンジニアリング、エディティング・モデルの交換、イメージメント&マネージメントを体得する。いや、それだけではない、花伝所を出ると「優しくなれる」のだと言い切ったのがこの記事だ。破バンキシャのウメ子が花伝所錬成師範として腕を振るったエディスト。花伝所申し込みは今からでも間に合う!こちらからGO!── 吉村 堅樹
マツコ’s Plus One???!
花伝所よいとこ、いちどはおいで♪
編集のライトセーバーを取れ イシスのジェダイが飛び立つ35花敢談儀
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2021年8月の記事から、編集部イチオシ記事を厳選してお届けしました。
また次回もどうぞお楽しみに~
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
方法の学校は、ここしかない。世界で唯一の学校【ISIS co-missionメッセージ 井上麻矢×田中優子】
イシス編集学校アドバイザリーボード ISIS co-missionメンバーより、これから「編集」を学びたいと思っている方へ、ショートメッセージが届きました。なぜ今、編集なのか、イシス編集学校とはなんなのか。イシスチャンネ […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 10月は開講ラッシュの月。基本コース[守]、応用コース[破]、師範代養成コース[花伝所]、技法研鑽コース[遊] […]
【プレスリリース】「思考の武器、表現の食器、発想の楽器」を手に入れる。生成AI時代を生き抜く「編集力」を38の思考の型で鍛える基本コース第56期[守]、10月27日に開講。
株式会社編集工学研究所(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:安藤昭子)が運営するイシス編集学校は、インターネット上で24時間いつでもどこでも「編集術」を学べる学校として、2000年に開校、25周年を迎えました。 […]
第89回感門之盟「遊撃ブックウェア」(2025年9月20日)が終了した。当日に公開された関連記事の総覧をお送りする。 イシス校舎裏の記者修行【89感門】 文:白川雅敏 本を纏う司会2名の晴れ姿 […]
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
コメント
1~3件/3件
2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。