何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

毎月公開されるEdist記事は30本以上! Edist 編集部メンバーたちから、見逃せない ”イチオシSelection” をお届けします。遊刊エディストをさらに楽しむ「エディスト・セレクション」、どうぞ。
◎遊刊エディスト編集部◎ 吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範代、松原朋子 師範代
─ キャラ立ちスコアでPick!
⦿千夜千冊エディションでお悩み解決!Q7. 方向音痴ですぐに迷います(40代・女性)
めちゃめちゃ個人的な趣味を申し上げると、人生相談、大好きなんです。
美輪明宏からジェーン・スー、桃山商事から鴻上尚史まで、敬愛する人生相談者が本棚には連なっているのですが、我らが大音美弥子冊匠もマツコ・デラックスと北方謙三のあいだのお席へお招きしたい限りです。
「千夜千冊エディションでお悩み解決」このシリーズもとんでもない腕力です。とくにこの回答。
「地図は文明の申し子ですが、体の右折は野生の叫び声でしょうか」
どうして方向音痴の悩みが、ローマに通じるのでしょうか。道なき道を道路と言い張り、客を振り落とさん勢いで疾駆するような、異国の怪しいタクシー運転手を思わせるしたたかさに快哉を叫びました。すべての悩みが霧散したような錯覚をもたらすアナロジーの飛躍。この大音編集を密かにオートメーションと呼んでいます。アナロジカルな世界を実現する方法はオート化にあると確信したシリーズ記事でした。──梅澤 奈央
⦿【このエディションフェアがすごい!18】ジュンク堂書店 三宮店(神戸市)
千夜千冊エディションブックフェアは全国の約50もの書店に達する勢いで、あちらもこちらも「知祭り」に沸き立っています。
中でもひときわ異彩を放つのがジュンク堂書店三宮店。「ジュンク堂書店の発祥の地」でのフェアだけに店長やイシスメンバーも、気合の入れようが違います。
そのことは、吉野陽子さん執筆の記事中に語られる、店長の堀内理さんの松丸本舗熱、小路千広さん・堀江純一さん・辻井貴之さん・吉野さんによる事前の仕込み、奈良から駆けつけた松井路代さんも加わっての本棚設営の様子からも感じられるはず(続報記事では木藤良沢さんが写真撮影をされています)。
さらに8月に入ってからは書店のTwitterの文書作成も手伝われているとのこと(!)。ここまでやり切る徹底っぷりに脱帽です。
三宮店のフェアは今月末まで。ジュンク堂三宮店とイシス編集学校のコラボレーションをお見逃しなく!。──上杉 公志
⦿未知奥トポス巡りⅤ 記憶を呼び出す舞台―花岡安佐枝師範代の諏訪
を推します。未知奥の記事ですが、花岡さんの出身は信州諏訪。ちょっと「出張記事」なんですが、私も信州出身なので、なんだか同郷の花が紹介されたような誇らしさがあります。花岡さんは文章を読んでも直にお話ししても、強い「らしさ」を感じさせる人ですが、その「らしさ」を根源まで遡るような一本になっていて、ご本人を知る人にとっては非常に詳細な謎解きに触れたような気になる記事です。
「その人の今を作っている過去」を聞き取る手際がとても丁寧で、布置されている具体的なエピソード群の一つ一つに大事な意味があることが、読んでいて自然に得心されます。これは文章を書く技術だけでなく、書き手の林さんの、取材にあたる哲学が熟してきていることも意味しているのではないかと感じています。──川野 貴志
マツコ’s Plus One ~未知奥の風をお届け!
未知奥トポスめぐりシリーズ
4 後藤’s イチオシ!
コロナ禍でラジオが流行っているらしい。かくいう私も最近ポータブルラジオを購入し、テレワーク中も料理中もずっとJ -WAVEを流している。そのうちに聞き流せるラジオというものは日々溜まっていく重みを少し軽くしてくれる作用があることに気づく。そんな時流を読んでなのか、それとも至ってカジュアルな事情からか、突如千夜千冊ファンである林頭吉村とデザイナー穂積によるラジオ記事がスタートした。ラジオなので身構えなくてもよし。読者目線で二人のDJが読みを交わし、問いを立てながら気ままに最新千夜について共読していく。千夜千冊読前のウォームアップにしてもよし、読後のラップアップにしてもよし。想定外に爽やかな声色の二人語りが日々の重みに風穴を開けてくれるかもしれない。
おまけ:それでも飽きたらない方には「セイゴオ千夜語り 一冊一声」をコレクションしてみることをお勧めする。── 後藤 由加里
マツコ’s Plus One?!
─ 多読ラブでPick!
多読ジムを愛してやまない代将です。その代償で家は本で山積みになり、本代がかさんで真夏だというのに懐は肌寒い。そんなチャチな「資本主義問題」(一足早い「金」メダル?『資本主義問題』発刊! をよそに、多読ジムSeason07・夏は激アツ展開中。なんてったって、各スタジオの亭主たる個性豊かないキビキビ冊師たちが熱い。7月のエディストでは、「スタジオしゅしゅ」のむつみ冊師が連載リレー【冊師が聞く】を締めくくり。話し手の多読アスリートは「【三冊筋プレス】そこにはいつも、「〇〇」がある」が公開されたばかりの細田陽子。「三冊筋プレス」は、多読ボードで析匠の小倉加奈子が「発酵ラブする手紙」で先陣きって、ヨーコ冊師こと中原洋子の「神は舞い降りた」、必読必見の三冊筋ニューカマーの「風景の「稜線」を切り取る(若林信克)」、「多層多重な仮想世界の歩き方(山口イズミ)」が続いた。多読のドン、冊匠・大音美弥子も吼える。「千悩千冊」の番外篇「千夜千冊エディションでお悩み解決!」は「Q7. 方向音痴ですぐに迷います」から「Q10. 娘がフランス人の彼を連れてきました」まで、堂々フィナーレを迎えた。今ぼくが所属している「スタジオ茶々々」の冊師は、編集かあさんでお馴染みの”まつみち”こと松井路代。「編集かあさんvol.25 ジャガイモの種子」もお見逃しなく!── 金 宗代
マツコ’s Plus One!!
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2021年7月の記事から、編集部イチオシ記事を厳選してお届けしました。
また次回もどうぞお楽しみに~
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
方法の学校は、ここしかない。世界で唯一の学校【ISIS co-missionメッセージ 井上麻矢×田中優子】
イシス編集学校アドバイザリーボード ISIS co-missionメンバーより、これから「編集」を学びたいと思っている方へ、ショートメッセージが届きました。なぜ今、編集なのか、イシス編集学校とはなんなのか。イシスチャンネ […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 10月は開講ラッシュの月。基本コース[守]、応用コース[破]、師範代養成コース[花伝所]、技法研鑽コース[遊] […]
【プレスリリース】「思考の武器、表現の食器、発想の楽器」を手に入れる。生成AI時代を生き抜く「編集力」を38の思考の型で鍛える基本コース第56期[守]、10月27日に開講。
株式会社編集工学研究所(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:安藤昭子)が運営するイシス編集学校は、インターネット上で24時間いつでもどこでも「編集術」を学べる学校として、2000年に開校、25周年を迎えました。 […]
第89回感門之盟「遊撃ブックウェア」(2025年9月20日)が終了した。当日に公開された関連記事の総覧をお送りする。 イシス校舎裏の記者修行【89感門】 文:白川雅敏 本を纏う司会2名の晴れ姿 […]
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。