44[守]リカちゃんのミメロギア・クッキング 絹なオムレツ 食してみたら?

2020/03/12(木)08:00
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イシス編集学校[守]講座には「番選ボードレール(番ボー)」という全校アワードがある。
番ボーの定番「即答・ミメロギア」は、2つの事物の「らしさ」を際立てることにより、新たな関係を見いだしていく編集稽古だ。

 

44[守]のミメロギアお題、「オムレツ・チャーハン」で金賞に選ばれたのは、ドラミ助太刀教室・稲垣景子さんの作品、「絹なオムレツ・綿なチャーハン」だった。
絹と綿は、オムレツとチャーハンの来歴や食感、食べる場面を形容しているだけでなく、正装と仕事着、西回りと東進、生物と植物、思惑と心意気など、オムレツとチャーハンに潜む対比関係も引き出す。
想像力が焚き付けられ、情景や物語が立ち上がり、見方次第で何通りにも味わえるのがミメロギアの醍醐味だ。

 

じゃあ、「絹なオムレツ・綿なチャーハンってどんな味?」ということで、実際につくってみた。

 

レシピのルールは「家庭にある材料、道具で、目分量でもできること」の三位一体に「松岡校長が嫌いではなさそうなこと」をプラス。

 


「絹なオムレツ」は、コシのあるなめらかさや衣擦れの音から「艶めく」質感を、「綿なチャーハン」は、洗い晒しのジーンズや絣から「さっくりしゃきり清々しい」味を目指した。
オムレツには、なめらかさと艶を持たせるために生クリームを加えてみた。絹らしい質感は向上したが、味がぼんやりしたので却下。卵だけで勝負することにした。そのため、白身と黄身のムラが出ぬよう溶きと濾しに注力した。チャーハンの具には、小気味よい歯ごたえとシャキッとした香りを持った食材を選んだ。お互いの特徴を打ち消さないかを確かめながら決めていった。見た目は久留米絣のもんぺのイメージに定めた。

 

  

 

二十歳を過ぎ社会人となって忖度ができるようになった娘の評価は、「オムレツはう~ん、フツー? でも薄味で好みだしお母さんにしては焦げてない。チャーハンはおいしい!綿の感じ出てるよ」だった。

 
●レシピ

 

《絹なオムレツ》

 

[材料]
・卵   2個
・バター 5g
・塩   少々
・胡椒  少々

 

[ダンドリ]
1.卵をボウルに割ってカラザを取り除く。
2.箸で白身を切るように混ぜる。その際泡立てないよう箸を上下ではなく前後に動かす。
3.白身と黄身がムラなく混じったらザルで濾す。
4.塩と胡椒を少々加える。
5.フライパンを熱し、バターを入れる。バターが焦げないよう火を調節する。熱くなりすぎていたら一度止める。
6.フライパンに卵液をザッと入れる、周辺部が固まり始めたら、箸で大きく切るように混ぜる。
7.半熟時点で火を止め、ゴムベラなどを使って二つ折にし帯型にまとめ、皿に移す。

 


《綿なチャーハン》

 

[材料]
・冷ご飯 茶碗1.5杯分
・新たまねぎ 1/2個
・セロリ   10センチ弱
・ちりめん 大さじ 3
・いりごま(白) 大さじ 2
・ごま油 小さじ 2
・塩   少々
・胡椒  少々
・しょうゆ 少々
・小ねぎ 2本
・味付け海苔 1枚

 

[ダンドリ]
1.新玉ねぎとセロリは同じぐらいの大きさにみじん切りにしておく。小ねぎは小口切りに、味付け海苔はキッチンバサミで細く切っておく。
2.フライパンを熱し、ごま油を入れる。
3.ごま油が温まり香りが出てきたら、新玉ねぎとセロリを入れて炒める。
4.新玉ねぎとセロリがしんなりしたら塩と胡椒をふる。しょうゆ少々(しょうゆ差しなら3~4滴程度)をフライパンの肌に落とす。
5.ちりめんといりごまを加え、全体をさっと混ぜる。
6.冷ご飯を加え、しゃもじなどで切るようにしながら炒める。
7.ごはんがほぐれ炒まったら小ねぎの小口切りを加え、軽く混ぜてサッと火を通す。
8.チャーハンをお椀に入れ、軽く押さえる。お皿の上に伏せてお椀をはずし、海苔を振りかける。

ーーー

 

 

絹の「らしさ」に迫るには腕前が決定的に足りないが、味はそこそこ好評を得た。
おすすめは、クロワッサンと絹なオムレツ・大根の味噌汁と綿なチャーハンである。
  

  • 石井梨香

    編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。