何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

─ 波及のインパクトでPick!
「マンガを方法する」という方針のもと、近畿大学アカデミックシアターDONDENの LEGEND50を走破する長距離マラソン連載の4人目は、近藤ようこ先生でした。編集学校のTwitterで記事がアップされると、近藤ようこ先生自らリツイート。そこから漫画関係の方々に広く波及していきました。話題のみならず、堀江さんが女性漫画家も模写できるということを宣言した回でもありました。エディスト読者の中でも着実にファンが増えている堀江さんの「マンガのスコア」は、今後も必読です。
そして、永遠の少女たちよ、水野英子先生に触れ、あのときの忘れものにも思いを馳せてください。
─ イシスの今をPick!
5月のイシスはずばり「世阿弥」の月と言ってもいいでしょう。世阿弥といえば風姿花伝、風姿花伝といえばISIS花伝所。花伝所の入伝式では風姿花伝に肖ったコーナータイトルがデザイナーの穂積によってあしらわれました。
そして、20周年記念の輪読座は「世阿弥を読む」。新たな仕組みで生まれ変わった輪読座。インタラクティブな設えによって、これまで以上に輪読や質疑が交わされる場になっています。映像、音声で後追いもできるので、今からでもサテライト受講はオススメです。
最後はエディストではありませんが、編集工学研究所専務・安藤昭子による世阿弥読み。免疫システムとの重ね読みもぜひご一読ください。
マツコ:フォトグラファー・後藤由加里の熱ほとばしる花伝10ショット、輪読座からは個性にじみ出る図像たち、そして新しく始まった編集工学研究所のBOOKWARE column。01収集、06凝縮、09原型、10模型、20結合、30相似、33輪郭、39意匠、55場面、56激化(六十四編集技法)などなどが効いてます!
吉村編集長に続いて、金副編集長からは、こちら↓
●第1回連雀会議~風韻史上初の「オンライン仄明」に向けて (JUST記事)
●風に乗ってふらり旅する秘湯歌仙 (POST記事)
5月はついに風韻講座の記事が初登場しました。執筆者は連雀の福澤美穂子さんと大武美和子さん。福澤さんは炭酸水のようなプシュッと爽快なPOSTを、大武さんはJUSTを文字通り軽妙洒脱に、それぞれの持ち味で綴ってくれました。どんな些細な日常でも、編集方法によってニュースになりうることをあらためて実感。ちなみに、木村月匠はいまだにZOOMでカオナシだそうです(笑)。
マツコ:“イシスの温泉”ともいわれる、癒し系・風韻講座の、癒し系連雀のおふたりが、風韻のニュースを届けてくださることになり、編集部としては沸きました。このあとも、楽しみです!
今、エディスト内屈指の筆力・編集力の持ち主のウメコこと、梅澤奈央さんの一作。
間違いなく100年後の歴史にも残っているであろう新型コロナウィルス パンデミック下で、約400年前の利休の茶室文化を通過し、40数億年前の生命にまでリバースしたヒストリックでエキセントリックな吉村林頭講義の方法に触れられる。
ウメコ記事をまだ読んでいないなんて、もったいない!
マツコ:ホントにもったいない!ので、みなさんぜひご一読いただきたいですね~。こちらの記事も、「分類」をつかった妙記事、マツコおすすめです。
●33[花]入伝式 オンライン自己紹介を印象的にする3つの方法
─ 流麗な文章表現でPick!
「流麗な表現」というのを評価軸にもらっておりましたが、そろそろど真ん中の、宮前さんの小説を挙げさせてください。
●【ISIS短編小説】一瞬の皹・日々の一旬 読み切り第六回 粉黛の倣い
編集プロセスの開示までがくっついているのがこの記事の目玉なので、屋上屋を架すようなコメントは避けたいところですが、このシリーズでものすごいのは、どんな作品を書くかから、編集術で決まっているところなんですよね。私、編集学校の物語講座は受講できていないんです。
「内発的に言わずにいられないことがないと小説なんて書けない」と漠然と思っていたわけですが、ここまでのものが編集的連想から立ち上がってくるとなると、ちょっと何も言えなくなります。
この作品は、近松門左衛門の「編伝」となっているわけですが、これを書くためにかねがね近松の取材をしていた、とかではない。編集術の圧倒的な可能性に、いやが上にも気づかされる記事です。そういう意味では、素晴らしい短編小説なんですけども、やはり編集術の可能性を伝える「記事」なんだと思いました。エディストでしか伝えられないことがありますね。とんでもない一本です。
この第六回の方を選んだのは、ふるさとが誇る上田紬がでてくるから。身びいきです(笑)
マツコ:いやはや、本当にです。こんな短編小説が軽々とOnしているEdistはスゴイですよね(笑)イシス編集学校にあるアイテムから連想を広げて小説化する本連載ですが、次にこの姿見をのぞくときには、色っぽい鯉籠のうなじが写っていそうで(赤面…!)
先日、「意味単位のネットワーク」といえば、桂師範が[守]の伝習座で解説し、それを転じて小倉加奈子さんがコラムを執筆し、堀江純一さんの「マンガのスコア LEGEND03鳥山明②たくさんの「わたし」」でも、触れられていますよ。方法を駆使してつくる作品、きっと守・破を経た方にはグッとくること間違いなし?!
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2020年4月の編集部おすすめ記事をお届けしました。
5月も見逃せないぞ、遊刊エディスト! またどうぞお楽しみに~
(Comments by マツコ@編集部 )
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
方法の学校は、ここしかない。世界で唯一の学校【ISIS co-missionメッセージ 井上麻矢×田中優子】
イシス編集学校アドバイザリーボード ISIS co-missionメンバーより、これから「編集」を学びたいと思っている方へ、ショートメッセージが届きました。なぜ今、編集なのか、イシス編集学校とはなんなのか。イシスチャンネ […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 10月は開講ラッシュの月。基本コース[守]、応用コース[破]、師範代養成コース[花伝所]、技法研鑽コース[遊] […]
【プレスリリース】「思考の武器、表現の食器、発想の楽器」を手に入れる。生成AI時代を生き抜く「編集力」を38の思考の型で鍛える基本コース第56期[守]、10月27日に開講。
株式会社編集工学研究所(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:安藤昭子)が運営するイシス編集学校は、インターネット上で24時間いつでもどこでも「編集術」を学べる学校として、2000年に開校、25周年を迎えました。 […]
第89回感門之盟「遊撃ブックウェア」(2025年9月20日)が終了した。当日に公開された関連記事の総覧をお送りする。 イシス校舎裏の記者修行【89感門】 文:白川雅敏 本を纏う司会2名の晴れ姿 […]
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
コメント
1~3件/3件
2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。