何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

season07・夏のBQは「ノンフィクション」に決まった。「夏」「B」「Q」の文字が踊って見えたからといって、これはもちろん「バーベキュー」の話ではない。それはB・B・Q。そもそも「B」が一字足りない。
BQとは多読ジムのブック・クエスト(Book Quest)のこと。トレーニングのスタートと同時に数十冊の厳選ブックリスト(BL)が配信され、そこから三冊選び、さらに三冊、さらに三冊、さらに三冊…というふうに「本から本へ」と本をつなげていって、最後はヴァーチャル本棚をつくるのがBQ。そのBQのBLのテーマがNFに決まったというわけだ(「ハヤカワ文庫NF」「光人社NF文庫」など「ノンフィクション」は「NF」と略すことがある)。
これまでBLのテーマは、先達文庫や科学道、米原万里や須賀敦子のブックガイドというふうに続いてきた。今回のように「ノンフィクション」と”どストレート”に本のジャンルをそのままあつかうのはお初のこと。が、考えてみればクエストというだけに、冒険するように本をめぐるBQと「ノンフィクション」はまちがいなく相性がいい。どんなBLが飛び出してくるのかは開講してからのおたのしみ。
夏のエディション読みは『文明の奥と底』。えっ、ノンフィクションからの『文明の奥と底』…攻めに攻めまくっている。まさに『闇の奥』(Heart Of Darkness)のような、『地獄の黙示録』(Apocalypse Now)のような、あのじと〜っとした、湿気ムンムンの雰囲気を思い起こさせるけれど、時には「攻める夏」というのも、それはそれで忘れられない、ハート・アンド・ソウル(Heart and Soul)。夜が待てない、”真夏の果実”になるかもしれない。
ノンフィクション、『文明の奥と底』と来て、トドメの三冊筋プレスのテーマは何かというと、なんと「笑う三冊」。とんだドンデン返し、ちゃんとオチが待っていました。三冊筋プレスは各自の自由選書。「笑う本」と聞いて、みなさんならどんな本を思い浮かべますか。私からは新鋭気鋭のギャグ漫画家・和山やまの『カラオケ行こ!』(ビームコミックス)をレコメンしておきます。和山さんが一挙に大注目されたデビュー作『夢中さ、君に』もオススメ。まさにまさに「四六時中も好きと言って、夢の中へ連れて行って」的な正統派ギャグ漫画です。
この際だから、BQのBLもナイショで一冊だけ情報漏洩します。そうですね、こちらなんていかがでしょう。石弘之『砂戦争 知られざる資源争奪戦』(角川新書)。石弘之さんは校長も”大の石ファン”と語る環境ジャーナリストで、昨年の11月に本楼で開催されたHyper-Editing Platform[AIDA]第二講にゲスト講師として参加した。ちなみに石弘之さんの弟の石和久さんはおしゃべり病理医・小倉さんのお師匠さん。石(イシ)さんだけに、イシスとはいろいろご縁があるのでしょう。
『砂戦争』(角川新書)、『文明の奥と底』(角川ソフィア文庫)、『カラオケ行こ!』(KADOKAWA)。すでにお気づきの方もいるかもしれないが、実はこの三冊、新書・文庫・マンガのDONDEN読みセットになっている。しかもKADOKAWAシバリ。今年の夏はこの三冊でキマリダ。
Info
◉多読ジム season07・夏◉
∈START
2021年7月12日(月)
∈MENU
<1>ブッククエスト(BQ):ノンフィクションの名著
<2>エディション読み :『文明の奥と底』
<3>三冊筋プレス :笑う3冊
∈URL
∈DESIGN the eye-catching image
穂積晴明
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:宮崎滔天
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。