何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

毎季恒例の多読ジムの予告です。2022年7月11日にスタートする<多読ジム>season11・夏のトレーニングテーマのラインナップが決まりました。
『フラジャイル』に『編集力』、そして工作舎との出版社コラボ企画。season11・夏はまさしく「セイゴオ尽くし」です。
<1>ブッククエスト(BQ):『フラジャイル』前篇
<2>エディション読み :『編集力』
<3>三冊筋プレス :虫愛づる3冊 ★出版社コラボ:工作舎
まずはブッククエスト。今回は、セイゴオ校長の名著の中の名著『フラジャイル―弱さからの出発』(筑摩書房)を味わい尽くします。実は当季のために、木村久美子月匠が『フラジャイル』に登場する膨大な書籍群を隅から隅まで丹念に調べ上げ、さらにブッククエストのために入手可能な書籍を厳選し、リスト化してくれました。これは貴重です。多読ジム限定のスペシャルブックリストです。この至極のブックリストをゲットするだけでも受講する価値があると言っていいほどです。
フラジャイル
お題目が「『フラジャイル』前篇」となっているのは、いずれ「後篇」があるということの予告でもあります。当初は全一回の想定だったのですが、あらためて『フラジャイル』のブックコスモスを点検してみるとやはり登場する本の冊数がとんでもなく多かったため、全六章を二分割して展開することになりました。「前編」では、「Ⅰ ウィーク・ソートで?」「Ⅱ 忘れられた感覚」「Ⅲ 身体から場所へ」「Ⅳ 感性の背景」の四章分を一挙に取り上げます。
さて、そのお宝のブックリストはいったいどんな様相になっているのか。この記事では「Ⅰ ウィーク・ソートで?」のリスト(現時点)だけ特別にチラ見せします。せっかくなので、あわせて『フラジャイル』の目次もご覧ください。
「そもそも『フラジャイル』ってどんな本なの?」「中身よりもまずその本の気配を感じたい!」という方は、上記リンクの「冊影帖」(THE BIBLIOCOSM OF SEIGOW MATSUOKA)がおすすめです。
ブッククエスト(BQ):『フラジャイル』前篇 ブックリスト(現時点)
Ⅰ ウィーク・ソートで?
◉『恐怖の権力』ジュリア・クリステヴァ/法政大学出版局
◉『キッチン』吉本ばなな/角川文庫
◉『ラフォルグ抄』ジュール・ラフォルグ/吉田健一:訳/新潮文芸文庫(古書のみ)
◉『日々の泡』ボリス・ヴィアン/新潮文庫
◉『ロベルトは今夜』ピエール・クロソウスキー/河出文庫(古書のみ)
◉『精選 折口信夫第IV巻 芸能史論』(『身毒丸』含む)折口信夫・岡野弘彦:編/慶應義塾大学出版会
◉『人間以上』シオドア・スタージョン/ハヤカワ文庫(古書のみ)
◉『吉原御免状』隆慶一郎/新潮文庫
◉『浅草弾左衛門とその時代』塩見鮮一郎/河出文庫 …
松岡正剛『フラジャイル 弱さからの出発』(筑摩書房)表紙、目次
つづく、エディション読みは『編集力』です。
まずもって『編集力』の帯文「連想=”多読”=暗黙知 世界は編集されたがっている」にご注目! そう、『編集力』は多読ジムのために書かれた一冊と言っても過言ではありません。
また当然、この一冊を読み解かずして「編集とは何か」「松岡正剛とは何者なのか」を語ることは絶対にできません。校長はなぜ「世界観にかかわるすべての作業のプロセスに編集がある」という確信にいたったのか。
松岡正剛『編集力 千夜千冊エディション』(角川ソフィア文庫)
『編集力』には、セイゴオ校長が編集工学に没頭していったプロセスをはじめ、マラルメ、ベンヤミン、カイヨワ、ポランニーといった編集方法の参考になった格別な思想や技法があますことなく案内されています。出し惜しみ、一切無し。
たとえば、雑誌『遊』編集長時代の若かりしセイゴオ校長がパリにまで会いにいった大遊学者カイヨワの『斜線』は、「対角線をナナメに折る」という方法によって、カマキリから戦争まであらゆるものが編集対象になりうることを教えてくれるわけですが、そんな『編集力』の襞々(ひだひだ)に重ねるようにして、三冊筋プレス「虫愛づる3冊」、そして工作舎との出版社コラボ企画に突入していってはいかがでしょう。出版社コラボ企画の詳細はまた後日発表します。
ところで、みなさんはかつて『遊』に虫に関する特集があったのはご存知ですか。『遊』1010号「虫類誌・形態考」です。おまけのおまけに、その書影と中身をちょっぴり付録します。どうぞ「虫の眼」でじっくりとご賞味ください。工作舎の元デザイナーでもある木村月匠がこちらも提供してくれました(ちなみに月匠が「工作舎のゴクミ」と呼ばれていた当時の貴重な写真を実は千夜千冊で拝見することができます!)
『遊』1010号「虫類誌・形態考」(工作舎)
夏よりもアツいアツい多読ジムの渦中に、いや火中にどうぞ飛び込んできてください!
飛んで火にいる本の虫なみなさんを心からお待ちしています!
Info
◉多読ジム season11・夏◉
∈START
2022年7月11日~9月25日
※申込締切日は2022年7月4日(月)
∈MENU
<1>ブッククエスト(BQ): 『フラジャイル』前篇
<2>エディション読み : 『編集力』
<3>三冊筋プレス : 虫愛づる3冊
★出版社コラボ:工作舎
∈URL
https://es.isis.ne.jp/gym
∈DESIGN the eye-catching image
穂積晴明
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:宮崎滔天
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。