【速報】4/24〜輪読座「湯川秀樹を読む」情報公開&申込受付中!

2022/04/19(火)17:00
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 物理学者でノーベル賞の受賞者。京都市名誉市民で、全ての核兵器と戦争の廃絶を訴える「パグウォッシュ会議」の第1回からの参加者。『目に見えないもの』など物理思想に関する書籍を多数執筆。その人こそ「湯川秀樹」であり、今春の輪読座で取り組む初の物理学者である。

 

 20世紀は科学や物理学にますます哲学が求められるようになった。その象徴が1930年にアルバート・アインシュタインが発表した原子核の崩壊エネルギーの公式が、原爆開発に用いられたことだろう。アインシュタインは、人類の大きな犠牲を払った原爆や国際連合の戦争抑止力の低さを痛感し、後に哲学者のバートランド・ラッセルなどの科学者・文化人たちとより強力な世界連邦の形成をすすめる「世界連邦運動」をはじめた。そこに加わった日本人が湯川秀樹だったのである。

 

 21世紀に入り20年を過ぎたものの、ロシアのウクライナ侵攻でも「核」の問題は今なおその影をちらついている。アインシュタインの公式発表から100年近く経とうとする今も、解決に至っていないばかりか、ますます問題は深刻化している。輪読師のバジラ高橋によると、今の世界をおおっている「ヘーゲル主義」の二項対立には創造はなく、21世紀の課題解決は望めないと読む。その背景を次のように述べている。

 

コロナ禍に追い打ちをかけるウクライナ戦争に、日本経済は経常赤字に陥り、円は国際通貨の役割を終えるかどうかの瀬戸際にある。この状況下にあって、何が「正」で何が「反」かが明確でない。欧型の「善」と「悪」を判別し、「善」を推奨する議論もむなしくなっている。

ーバジラ高橋

 

 ヘーゲル主義やヘーゲル論理学を脱するこれからの哲学を問いつづけた人こそ湯川秀樹であったとバジラは見る。バジラによると、その湯川の物理哲学の中には「長岡半太郎やアインシュタインやハイゼンベルグとともに、日本の空海や世阿弥や三浦梅園。東洋の荘子や墨子や李白が息づいている」という。ヘーゲル型の二項対立ではもはや編集しきれない課題に、西洋、東洋そして日本の哲学をもって向かいつづけてきたのが湯川秀樹であった。

 

 輪読座「湯川秀樹を読む」は4月から9月の毎月最終日曜に開催。バジラお手製の図象解説を行った上で、湯川秀樹の著作を受講生で輪読する。予習不要・予備知識も一切不要の開かれた輪読座は今期もリモートで開催。オンライン形式にシフトして以来、毎回全国各地から受講者が集まっている。

 

 なお、受講申込者にはバジラ高橋による湯川秀樹の思想とクロニクルをモーラした解説資料が提供される。21世紀を編集するための日本哲学を学ぶなら今だ。


日本哲学シリーズ 輪読座「湯川秀樹を読む」詳細・申込はこちら

 

  • 上杉公志

    編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。