何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

「文明の発生は、キリスト教的・一元的ではなく、多元的な相互編集によって起こったのではないか」。
2020年12月27日の輪読座「白川静を読む」第三輪は、バジラ高橋の「見方の問いなおし」から始まった。前回の時間軸で組み立てた図像から一転し、地図を多用した空間軸の図像を用いつつ、黄河文明の形成と「興」の発生を講義した。
黄河・遼河・長江文明の発生においては、羌(キョウ)族・濊貊(ワイハク)族・苗(ミャオ)族という、言語族も異なる民族の分布に注目する。すでに長江中流では世界初の水田耕作が始まり、裴李崗文化では亀卜やピクトグラムが既に発生していた。
紀元前3500年ごろには柳田國男も『海上の道』で言及する「子安貝」の流通ネットワークが発生する。ネットワークができれば価値の統一がおこり、産物が商品化される。そうしてネットワークの拠点が生まれ「都市」が誕生した。バジラはこうした流通の網の目を辿りつつ「文化は想像以上に混ざっており、むしろ混じり合った場所でこそ文化は発展するのでは」と見る。これも一つの見方の問いなおしだろう。
そうして都市ネットワークの一つから帝を戴く士族社会制の「殷」が発生し、甲骨文字が作られ、続いて身分制・封建制の「周」へと続いていた。そのプロセスで音楽によって天下を教化する「礼楽」が登場し、周代の商容がこれを整えた。人間が自然現象との調和を図る礼楽は、殷時代の神による神裁政治から周時代に人間による政治へ移行するための編集行為であった。
孔子は礼楽の構成要素の一つである詩編を編纂し『詩経』を著したとされる。「これまで『詩経』は儒教における五経の一つとして位置づけられることが多いが、周の民族学的解釈として、儒教にとどまらない世界像が入っているのではないか」というのがバジラの見立てだ。
第三輪の締め括りに『詩の発想と表現』を輪読する。『詩経』の六義の一つでありながら、その本質がなお明らかにされていない「興」を中心に、白川の見方の問いなおしに迫った。
年内の本楼イベントはこれが最後。来年1月31日の第四輪では「国家神話と宇宙神話」と題し、周建国神話や楚辞天文篇の宇宙生成神話の輪読を予定している。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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