何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

間もなく桜の開花シーズンですね。自然の美しい風物を示す花鳥風月の内、優しい色をした花によって生命の息吹が伝わってきます。ニュースを確認すると東京の開花は3月24日の予報のもよう。一足先の15日にイシス編集学校における修了をお互いに寿ぐ場・感門之盟がスタートしました。これまでの学びを振り返る学衆(生徒)たちの息づかいが伝わってきますね。
豪徳寺駅近くにある編集工学研究所の「本楼」で行われた感門之盟の開会にあたり、学長・田中優子からのメッセージが届きました。速報として会場の様子を交えながらレポートいたします!
学長の田中は基本コースの「守」、応用コース「破」、世界読書奥義伝「離」を受講済みです。さらには技法研鑽コースである物語講座なども受講していました。イシスの学びは単に知識を増やすだけでなく、見方を広げるだけでなく、まるで仏教の開祖ブッダが縁起の自覚をしたような、田中が言うところの「悟り」っぽいモノを得ることができます。世間一般の学校とはひと味もふた味も違うのです。
学びの場「教室」では師範代(教師役)が学衆(生徒役)へ一方的に教えるのではなく、学衆からの回答などのフィードバックによって師範代も学びを受け取る相互編集が行われていることを田中は強調していました。
中世のような帝国化やマネーさえあれば何でもできるとの思い込みが進んでいる世界と、身近な社会の中で生きる個人の間を二項対立として扱おうとすると、個人の無力さに対して絶望に陥ることがあります。そのような状況から抜け出すために「多元性」という第三の道が生まれつつあると田中は紹介しました。「複雑系」から刺激を受けながら発展している「多元性」は情報を関係づけながら、それらに新たな命を吹き込んでいます。イシスでは教室での稽古を通じて、2つ以上の知に対して文科系と理科系を区別せずに対角線を引く、今までの社会に無かった関係の学問を学んでいます。
イシスでの学びを通じて小さなコモンズやコミュニティを形作ることも将来できるようになるでしょう。
学長の田中はメッセージの中で度々「編集を続けてください」と強調していました。「守」では思考の武器、表現の食器、発想の楽器となる38個の編集術がありましたね。その先にある応用コース「破」では、相互編集の方法を型稽古で学ぶチャンスに出会えます。
学長メッセージにリアルタイムで触れたみなさん(さらに本記事を読んだ方も)、編集学校入門前の状態に巻き戻って、元の居場所へと帰還しないようにしましょう。
<写真/文>畑本ヒロノブ、ただし最後の写真のみ福井千裕が撮影
畑本ヒロノブ
編集的先達:エドワード・ワディ・サイード。あらゆるイシスのイベントやブックフェアに出張先からも現れる次世代編集ロボ畑本。モンスターになりたい、博覧強記になりたいと公言して、自らの編集機械のメンテナンスに日々余念がない。電機業界から建設業界へ転身した土木系エンジニア。
<汁講レポート>角川武蔵野ミュージアム訪問で味わう(55[守]つきもの三昧教室)
「せっかくの遠出だから、角川武蔵野ミュージアムに行ってみよう」 イシス編集学校の55期基本コース[守]の最後のお祭り的なイベント・第89回感門之盟が9月20日(土)に行われていました。私が師範代を務める「つきもの三昧教 […]
<速報>ピッチングマシーンのボールのように飛びながら世界を認識する/55[破]突破講
「クロニクル編集の稽古を通じて、家族との関係性が変わった」 ISIS co-missionメンバーであり、文化人類学者・今福龍太さんが登場した9月27日の第180回伝習座が終わった翌日、55[破]応用コースに登板する師 […]
<速報>43[花]花伝敢談儀:千夜千冊エディション『少年の憂鬱』の図解レポート
「「つもり」と「ほんと」を分けちゃだめ」 8月に入るとともに大型の台風9号が本州近くの関東に接近しました。暴風雨は遠ざかりましたが、猛暑の影が忍び寄っていますね。気温の上昇とともに、イシス編集学校の編集コーチ養成コース […]
<速報>「いったん死んでよみがえること」物語編集術レクチャー54[破]破天講
「神話が足りない」 5月も終盤へと向かい、6月の梅雨の時期に入ろうとしていますね。日本国際博覧会協会(万博協会)が大阪・関西万博の5月23日の一般来場者数(速報値)が約13万9千人だったと発表しました。開幕日の約12万 […]
「言葉の学校であるが、イメージについて語りたい」 4月末からのゴールデンウイークが終わり、初夏に向けて最高気温も上昇中です。フィクションでの枢機卿たちの思惑を描く『教皇選挙』が上映されて架空の教皇が選出されていました […]
コメント
1~3件/3件
2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。