断然を決行せよ 転換と変換のあいまで【77感門終了】

2021/09/05(日)23:24
img JUSTedit

事件から、私は生まれる。
2日間にわたる感門之盟を締めくくったのは、律師八田英子の人生における分岐点だった。
2004年、一介の社会人だった八田のもとに、資生堂の現名誉会長・福原義春氏から著作が届けられたのだ。それは当時上梓されたばかりの『猫と小石とディアギレフ』

 

福原氏は、のちに『千夜千冊』全集の装幀を手掛ける言わずとしれた重鎮。八田は、たまたま訪れた松岡正剛による「連塾」で福原氏を見知っていたとはいえ、何をお礼してよいのかわからない。何をしても失礼にあたると浮足立った八田は、せめてきれいな字でお礼状を書こうと決め、書道に通いはじめた。数年かかって師範資格を習得。卒業作品を提出した足でむかったのは、忌野清志郎の葬儀だった。あの1冊がなければ、何かが止まったままだったかもしれない。

 

第77回感門之盟は、忌野清志郎の声に乗せて200名以上もの名前を乗せたエンドロールが流された。清志郎は歌った。「どれだけ遠くまで歩けば大人になれるの」

 

グランドフィナーレのマイクを託された司会渡辺高志は、声を詰まらせる。「断点を断然点に変えてゆきたい」と松岡の言葉を引き受け、増岡麻子は「ここからがはじまり」と新しい門出を祝す。東京パラリンピックの閉会とともに、イシスはDAN ZENへ向け飛び出した。

 

※77感門 関連まとめはこちら

あなたのDANZEN記事はどれ? 公開記事総覧vol.2【77感門】

 

  • 梅澤奈央

    編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
    イシス編集学校メルマガ「編集ウメ子」配信中。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。