響き合う読書【52[破]第1回アリスとテレス賞エントリー終了】

2024/05/19(日)23:03
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 52[破]は開講から1か月で、最初の山場を迎えた。本日5月19日(日)18:00、第1回アリスとテレス賞「セイゴオ知文術」のエントリーが締め切られた。千夜千冊をもどいて一冊の本について書くお題で競う。


 10教室・学衆73名中、エントリーしたのは57名。ダイモーン維摩教室、蝶か釣果教室は全員エントリーを果たした。おめでとう!! 選評委員(木村久美子月匠、[破]の師範、番匠、評匠、学匠)は、それぞれ全エントリー創文を読んで選評会議に臨む。結果発表は6月上旬。全エントリー作品に講評がつく。

 

 では、課題本の人気ランキングを発表する。( )内は前回の順位。


 1位『あなたの人生の物語』テッド・チャン 11点(6位)
 2位『心はすべて数学である』津田一郎 8点(2位)
 3位『地球にちりばめられて』多和田葉子 7点(2位)
   『虫と歌 市川春子作品集』市川春子 7点(9位)
 5位『悪童日記』アゴタ・クリストフ 6点(1位)
   『フラジャイル』松岡正剛 6点(4位)
 7位『生命誌とは何か』中村桂子 5点(5位)
 8位『東京プリズン』赤坂真理 4点(7位)
 9位『文字逍遥』白川静 2点(10位)
 10位『椿の海の記』石牟礼道子 1点(7位)

 

 『あなたの人生の物語』と『虫と歌 市川春子作品集』が人気急上昇。52[破]はSFづいているのか? 『心はすべて数学である』と『地球にちりばめられて』もひきつづきたくさんの読者を得た。


 課題本同士は、地下でつながっているようなところがある。文字や言語、子どもの視点、生命の進化といったテーマをもつグループがある。時空を行き来するノンリニアな手法は、カオス理論に通じるともいえるのか。すべての奥にはフラジリティがひそんでいる。師範代は、開講3週目に師範や番匠・評匠とともにオンライン読書会をもってセイゴオ知文術に備えた。学衆の選んだ何冊もの本を行ったり来たりしながら、本どうしの響き合いを感じ取る。あちらの本がこちらの本の理解を進めてくれることに、驚きながら指南していたのだ。学衆さんも、もう1冊、2冊と読んでみてほしい。必ず新たな見方を授けてくれる10冊だ。

  • 原田淳子

    編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。