何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

モデルからモードへ渡る2週目に突入。稽古は式目演習だけにとどまらない。AIDAを住処としミディエーターを担う師範もまた、それぞれ闊達にその表象へと向かう。
デザイナーを生業とする、くれない道場・錬成師範の阿久津健は、花エディストのアイキャッチビジュアル制作を一手に引き受け、ヴァーヴァルからノンヴァーヴァルへメタメッセージを描出する。32[花]からはじまった花林頭(かりんとう)ロールに着替えれば、禅問答モードに肖り道場稽古を内外から揺らす。モードを変えるたびに多重視点がうまれ、ポリロールによって多様な編集的自己を体現する、旬の[花]らしいJustな一人である。
◆デザインワーク#1
プレワークの10夜タイトルから棟梁を貫く。ビジュアルイメージからアナロジカルな一種合成によって連想の先をデザインで示す。テキストからデザインへ、リテラルからモードへ往還し、象徴するツールの見立てからも影絵のようにターゲットが暗示される。
◆デザインワーク#2
方法日本といえば型、抜き型を擬いた大胆でモダンなモチーフの奥にも注目だ。藍色を背景に反物の寸法図もコラージュされている。テキストとテキスタイルの関係線も浮かびあがってくる。
”そもさん!”
「型は、なにを隠している?」
花林頭・阿久津によってM1(モデル)演習を終えたばかりの入伝生に渡された問いは、シンプルで深い。
一休さんと和尚が交わしたとされる、作麼生(ソモサンとよむ)・説破(セッパ)は禅道のスタイルである。リバースモードではぐくむ師弟関係は、方法日本には多数在る。
” せっぱ!”
からたち道場のハヤシは、その人の「らしさ」が型に表象されるのだと応じ、やまぶき道場のタカモトは「変化」と読んだ。既知とのズレや重なりをトリガーに変容力を託したのだろう。同じくやまぶき道場の二シムラは明治維新以前の日本人がもっていた「ミッシング・リンク(失われた環/鎖)」への接続だとテーゼする。
大いに編集思考を働かせ、共読が進みIF/THENの往来で再編集がかかると無意識のうちに多重視点がもたらされる。たくさんのわたし状態が、意識の自己を解放していく。外部モデルから自身の内部に取り込んだ情報によって、モードが創出される。
アート(ART)の語源がアルス(ARS)だと、編集学校に携わるものなら知るところだ。アルスとは技巧であり、方法使いの術ともいえる。
学衆から入伝生を経て師範代に成る、わずか7週間のメタモルフォーゼは急進的で深い。師範阿久津から放たれる「応」もまた技巧である。魔術のように次々と入伝生の執着に火をつける。
文 平野しのぶ(錬成師範)
アイキャッチデザイン・写真 阿久津健(錬成師範)
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イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
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2025-10-02
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(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
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2025-09-24
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