何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

5月7日、37[花]の「ガイダンス」が開催された。オンライン画面を通じて30名の入伝生と18名の指導陣が一堂に会した。
ここでは学衆から入伝生へ着替えカマエとハコビを持ち換えていくためのヒントがたった二時間に凝縮されて手渡される。花伝所では教室から道場へ、学衆から入伝生へと舞台やロール名が変わる。しかし「自身が変わらないと何も変わらない」と田中晶子所長はぴしりと最初のカマエを示した。
続いて花目付の深谷もと佳は自身のアトリエからエンゼルスのユニフォーム姿で登場。7週間の演習における「型」との向きあい方を「守破離」と川上不白の言葉と共に入伝生へ手渡す。
守破離と式目(5M)を重ねて語る、深谷花目付。
■直線ではない、直接ではない
錬成師範の平野しのぶが世阿弥の『却来華』を紐解きながらフィードバックループの手ほどきをする。師範代としての成長と深化を、異なる次元ともとの次元との往き却りを繰り返す却来の「らせん構造」に重ねてみせた。それに続く吉井優子花伝師範は『芸と道』を引用しながら「花伝式目を丸のみしろ」「代になりきれ」と静かに言い切る。「師範代という方法」は誰かの「代」になりつつ、いつの間にか「成っている」もの。なんとも禅問答のような「師範代という方法」に新たなQを抱えた者も多いだろう。
■仮説的に何度も動かす
実践的な指南演習である錬成の解説をする内海太陽錬成師範は手書きの図解で「仮説的なターゲット」を強調する。固定化されたヴィジョンに向かうなとくぎを刺した。また村井宏志錬成師範も指南の過程に用いる「問感応答返」の五文字を手に、リバースエンジニアリング(RE)を「何度も行き来させる」必要があるのだと重ねた。仮説を動かせ、何度も行き来せよ、と「却来」を思わせる言葉が繰り返される。
左から平野師範、吉井師範、内海師範、村井師範、武田師範 入伝生をレクチャーで導く。
■すでに「成っていく」にさしかかっている
入伝生たちにとってはガイダンスが互いの初顔合わせの場だ。しかし実は入伝生たちはガイダンス前からすでに活発な交わし合いを続けている。プレワークだ。そんなリバースエンジニアリングあふれるプレワークを紐解いたのは[守]学衆からの同期という堀田幸義、佐藤健太郎の両錬成師範。対話を重ねてコップを言い換え続ける入伝生たちが、すでに師範代に「成っていく」過程の入口に立っていることをインタースコアたっぷりに見せる。外部からの触発だけでなく、自らが持っている想像力を解き放つことこそが「解発」だというのは武田英裕錬成師範。自身がビジネスの中で見つけたというアナロジーコレクションは圧巻だ。
堀田師範(左)、佐藤師範(右)Zoomの向こうの入伝生と対話する。
ガイダンスの最後に林朝恵花目付はレクチャーをこう締めくくった。
「負を抱えているのは当たり前。自信がないと言わなくていい。場を信じて欲しい。簡単に道を外れないで欲しい。道は続いていくのです」
一週間後は入伝式。直後から道場演習がスタートする。そこで30人の入伝生たちはこれからの七週間で数えきれない却来を繰り返すのだろう。編集の道はまだ始まったばかりだ。
文 神尾美由紀(錬成師範)
アイキャッチデザイン・写真 阿久津健(錬成師範)
イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
3000を超える記事の中から、イシス編集学校の目利きである当期の師範が「宝物」を発掘し、みなさんにお届けする過去記事レビュー。今回は、編集学校の根幹をなす方法「アナロジー」で発掘! この秋[離]に進む、4人の花伝錬成師 […]
纏うものが変われば、見るものも変わる。師範を纏うと、何がみえるのか。43[花]で今期初めて師範をつとめた、錬成師範・新坂彩子の編集道を、37[花]同期でもある錬成師範・中村裕美が探る。 ――なぜイシス編集学 […]
おにぎりも、お茶漬けも、たらこスパゲッティーも、海苔を添えると美味しくなる。焼き海苔なら色鮮やかにして香りがたつ。感門表授与での師範代メッセージで、55[守]ヤキノリ微塵教室の辻志穂師範代は、卒門を越えた学衆たちにこう問 […]
ここはやっぱり自分の原点のひとつだな。 2024年の秋、イシス編集学校25周年の感門之盟を言祝ぐ「番期同門祭」で司会を務めた久野美奈子は、改めて、そのことを反芻していた。編集の仲間たちとの再会が、編集学校が自分の核で […]
「物語を書きたくて入ったんじゃない……」 52[破]の物語編集術では、霧の中でもがきつづけた彼女。だが、困難な時ほど、めっぽう強い。不足を編集エンジンにできるからだ。彼女の名前は、55[守]カエル・スイッチ教室師範代、 […]
コメント
1~3件/3件
2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。