【受講者募集中!18綴物語講座】好きなものを好きと、言ってみる

2025/09/25(木)11:00
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 「わたし、物語が好きだと気がつきました」

 その言葉を聞いて、思わず顔がほころんだ。

 

 大岡山の駅から徒歩5分、ごく普通の外観のマンションの一室。階段をのぼり、冷房の効いた部屋に入ると、青熊書店で購入したインターブッキング本を机に並べた。

 応用コース・破のリアル汁講で、学衆さんがしみじみと、でも晴れがましい顔で話してくれたひとことだった。

 

 顔がほころんだのは、かつての自分に再び出会ったような感じがしたから。編集学校が楽しくて、守も破も花伝所も身体に通し、師範代も経験して、でもなんとなく躊躇していた「物語が好き」「本が好き」という言葉。「わたしより好きな人はいっぱいいる」「わたしより本が読める人もたくさんいる」。「たくさんの私」で発動するはずの編集的自己は、いつのまにか注意のカーソルを宙に浮かせたまま、小さくなっていた。

 

 「物語講座を受講してみませんか」

 「創師」というロールをもらいたての小濱創師が声をかけてくれたのは、第二子を出産して、育休から復帰するときのことだった。13綴・ドリトル銀の匙文叢という、うっとりするような文叢に所属し、はじめて叢衆というロールとなり、楽しく大変で暖かい冬を駆け抜けた。

 

 4か月間、物語を書く。落語も、ミステリーも書いたことがないけれど、書く。幼な心は、自分の得意分野かもしれないと気づく。当時のお題だった、トリガー・ショット(ビジュアルから物語の種をつくる)に翻弄され、編伝1910は参稿に間に合わず、エピローグで挽回し、なんとか績了となった。

 

 感門之盟で受け取った『綴墾巻』は、まだ大切に薄紙を巻かれたまま本棚にある。editcafeの画面で横書きされていた文字が、縦書きとなって印字され、一期一会の13綴の仲間たちの物語とともに閉じられて。

 

 18綴 物語講座の幕開けを伝える記事に、

 けれど、私たちが共に目指すのは、もっともっと奥深く。

 とあるように、物語講座が目がけていくのは「世界の見方」。

 その入り口は、もっとやわらかくて多様で、わくわくとひらひらと、可能性に満ちている。

 

 好きなものを、好きと言って、物語講座をはじめてみませんか。

 

 文/小林奈緒(18綴・物語講座 師範)

 

Info

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[遊]技法研鑽コース 「物語講座」第18綴
  https://es.isis.ne.jp/course/yu-narrative

■期間   :2025年10月6日(月)~2026年2月1日(日)
       ライブ稽古「蒐譚場」2025年12月13日(土)
        編集工学研究所(本楼)
 
■資格   :[破]応用コース修了者(突破)以上
 
■プログラム:窯変三譚/トリガー・クエスト/編伝1910
 
■お申込みは こちら ※再受講割引あり。

  • イシス編集学校[遊]物語講座

    編集の源に物語あり。世界を見立て、構造化して語り直す、「方法としての物語」を体現する月匠、綴師、創師、師範、師範代のチーム。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。