何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

[離]の指導陣は「火元」と呼ばれる。火元は入院した学衆に、時に厳しく、刻印されるような言葉を容赦なく手渡す。創を負い、失敗をし、離中で自信喪失する学衆も少なくない。
師範代育成コース[花伝所]で指南にあたり、まず「受容」の言葉を学ぶイシス編集学校の中にありながら、なぜ[離]はこのようなプログラムになっているのだろうか。
松岡校長が火元に託した3つの課題意識
2021年5月15日、第76回感門之盟「世界読書奥義伝 第十四季 [離]退院式」。
「『表沙汰では必ずや退院式では本楼でお会いしましょう』と誓いながら、またしても画面と画面の間で会うことになってしまいました。切ない14[離]ですね。」
太田香保総匠は、禁じ得ないおもいを言葉にする。つづいて、14[離]がはじまってまもなくの頃に松岡火元校長から火元に託された「3つの課題意識」を退院した学衆へ打ち明けた。
1.今の日本も世界も、ひょっとしたらイシス編集学校も「覚醒」が持続しなくなっている。14[離]の学衆の諸君も、覚醒しっぱなしでいてほしい。
2.社会の流動化・フラット化があまりに進んでいるために、「人並みでいい」「並でよい」と口にして、存在を縮退させたり沈潜させてしまっている。それではいけない。
3.昨今のSNSの影響か「たくさんのわたし」が矮小化しまっている。一人ひとりが例外的で、格別な「たくさんのわたし」になってほしい。
火元から学衆への痛みを伴う言葉は、この三つの意識から手渡されていた。
「本」が、ひとりではできない克服や何かに向かう目標をつくってくれる
こうした課題意識にはどのような大元があるのだろうか。
肺ガン手術から退院したばかりの松岡火元校長が、3階の書斎からZoom越しに、その呼吸とともに発する。
肺ガンにあたり、プロのチームが血糖値や麻酔の効き具合、あらゆるデータ情報をふまえて、手術・入院期間を完璧にコントロールして治癒に向かってくださった。これは僕ひとりの克服では到底無理です。
世界読書奥義伝もこのようなこと。「血糖値はこの本」「血圧はこのテーマ」「ヘモグロビンはこれ」といったように、あらゆる本が、ひとりではできない克服や、何かに向かう目標をつくってくれる。
こうした「本」とは、おそらく一生かかっても一割すらであうことができないだろう。火元校長のしつらえた[離]は、そうした「本」とであいつづけるプログラムであった。
そうして創をみたり長所をみたり、潤いを感じてみる。これが「世界読書奥義伝」という非常に珍しいやり方です。
努力がかたちになって報いる、退院式の一日を楽しんでほしいと思います。
司会を担うのは大久保佳代・桂大介の両右筆。退院を寿ぐ感門之盟がはじまる。
(左から)桂大介右筆(武臨院)、大久保佳代右筆(曵瞬院)、太田香保総匠
【世界読書奥義伝 第十四季 [離] 指導陣】
◆火元校長 : 松岡正剛
◆総 匠 : 太田香保
◆別当師範代: 小坂真菜美/倉田慎一(方師)
◆別 番 : 寺田充宏・小西明子
◆右 筆 : 大久保佳代・桂大介
◆析 匠 : 小倉加奈子
◆方 師 : 田母神顕二郎
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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コメント
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