何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

松岡正剛さんとデイヴィッド・ボウイは似ている。
と、ワクワクせずにはいられないこの一文から始まるエッセイ(♯4:いまになって『情報の歴史21』を読みながら)が昨日、『ele-king』のウェブサイトにアップされた。
松岡正剛とボウイの何が似ているのか。どう似ているのか。さらに「情歴」の魅力や可能性を語るプロセスの中で「編集(工学)とは何か」の核心に触れている。
こんな文章を書ける人は、野田努さん以外、そうはいない。
とにもかくにも野田さんのエッセイを読んでもらいたいのだが、ボウイ、イーノ、サン・ラー、ワイルド、ヘンドリックス、ディラン、ニーチェ、バロウズ、リンゼイ・ケンプ、野村克也、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、美空ひばり、マーシャル・マクルーハン、ザ・ビートルズ、スチュワート・ブランド、J.R.R.トールキン、マーク・ボランがぞくぞく登場し、それほど長くはない文章の中におびただしい情報量が圧縮されている。だが、不思議なことにすらすらと読めてしまう。まるで情報の歴史の魔法のように。まるで松岡正剛スタイルのように。
野田さんは36、7年前の情歴プロジェクトの立ち上げメンバーの一人でもあった(野田さんの担当は「縄文」だった!!!!!! 奇しくも「縄文」をテーマに語られた前回の情報の歴史を読むイベント安藤礼二篇を野田さんにもぜひご覧いただきたい!!!!!!)。エッセイでは、インターネットのまだ普及していない当時の制作風景が臨場感をもって語られ、「たしかにこれは編集力で作る本だった」と振り返っている。では、編集力とは何だろうか。天才のボランとボウイの編集を比べながら、野田さんは「「編集」は、天才でも作家でもないひとにとっては有益なメソッドになりうるだろう」と予見している。
エッセイの締めくくりには『情歴21』に、こんなエールも寄せてくれた。
誰もが思い描くディストピア物語ではない、前向きな未来への筋書きをここからどう描いていけるのか、そのヒントも『情報の歴史21』にはあるはず、と生涯一編集者の背中を見ながら20代を過ごしたぼくは思うのである。
もし、松岡正剛は知っているが、『ele-king』を知らないという人がいたら、『ele-king』とは「千夜千冊」ならぬ”千夜千曲”だと思ってくれればいい思う。『ele-king』では、ほぼ毎日のように格別なミュージックレヴューがアップされている。とはいえ、千夜千冊とは違って、野田さんが一人で書いているわけではなく、他に複数のライターさんがいて、充実のインタビュー記事やライブレポートも発信している。
じつは『情歴21』編集部にとっても『ele-king』は超絶必の貴重な情報収集源だ(野田さんと『ele-king』のエディターやライターの皆さんには、情歴編集部一員として、この場を借りて御礼を申し上げます!!!!!)。
<野田努さんプロフィール>
野田 努/Tsutomu Noda
1963年、静岡市生まれ。1995年に『ele-king』を創刊。2004年~2009年までは『remix』誌編集長。2009年の秋にweb magazineとして『ele-king』復刊。著書に『ブラック・マシン・ミュージック』『ジャンク・ファンク・パンク』『ロッカーズ・ノー・クラッカーズ』『もしもパンクがなかったら』、石野卓球との共著に『テクノボン』、三田格との共著に『TECHNO defintive 1963-2013』、編著に『クラブ・ミュージックの文化誌』、『NO! WAR』など。現在、web ele-kingとele-king booksを拠点に、多数の書籍の制作・編集をしている。
Info 01
⊕ ele-king ⊕
∈ Editor-in-Chief:野田努
∈ Editor:小林拓音
∈ Producer:水谷聡男
∈ URL:https://www.ele-king.net
∈ Recent publication:
『ele-king vol.32 特集:2010年代という終わりとはじまり』
Info 02
⊕ 情報の歴史を読む ⊕
∈ ゲスト:片山杜秀
∈ 日時:2024年3月19日(火) 19:30~22:00
∈ 参加費:リアル参加4,000円(税込4,400円)
オンライン3,000円(税込3,300円)
∈ 会場
リアル参加:本楼(世田谷区豪徳寺)
オンライン参加:お申し込みの方にZOOMアクセスをお送りします。
※リアル参加もしくはオンライン参加のどちらかを選択いただけます。
∈ 定員:リアル参加につきましては先着20名となります。
∈ 参加資格:どなたでもご参加いただけます。
∈ 参加特典:お申込者限定のアーカイブ動画あり(視聴期間:1カ月程度)
∈ 申込締切日:2024年3月18日(月) 12:00まで
∈ お問い合わせ:front_es@eel.co.jp
*『情報の歴史21』(書籍orPDF)をお持ちの方はご持参ください。
▶︎▶︎▶︎参加お申し込みはこちらから◀︎◀︎◀︎
「『情報の歴史21』を読む」第11弾「片山杜秀編」3月19日(火)開催。音楽を聴けば、歴史が見える!
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:宮崎滔天
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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コメント
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2025-10-02
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作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。