何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

スニーカーならエアマックス。NBAはエアジョーダン。ダイノジはエアギター。そしてイシスにはエアサックスと呼ばれる男がいる。
感門之盟で音楽を学ぶ卒門学衆としてフィーチャーされたものの、サックスの演奏が未熟だったため、校長から吹かないで持ってるだけにしてとディレクションされたことから、「エアサックス」の愛称がついた。49[破]学衆・ヤマネコでいく教室、加藤陽康。これは3度目の正直ならぬ3度目の突破にかける若者の4ヶ月に渡る編集稽古のドキュメントである。
エアサックス加藤、三席。
初めてのエントリーは、アリストテレス賞三席に終わった。未エントリーを続けた加藤にとっては大きな成果である。「師範の最後の指摘はその通りだと思います」。加藤も納得の講評が竹川智子師範から届いた。
『フラジャイル』をしっかり読んで、丸ごと飲み込み、向かい合っていることが伝わってくる創文です。世界が始まった時から生じている全ての情報を対象として多様な面を見せてくれているフラジャイル。多様性が伝わるように様々な例示を展開しているこの本のエッセンスを伝えるべく、要約に努めてくれました。その過程で感じ取った「ひきこまれ」という言葉でフラジャイルを再定義しようとしています。その挑戦はあっぱれですが、引き込まれるのはフラジャイルだからなのか本書で使われている松岡正剛の創文方法によってなのかが整理しきれていないようです。最後、唐突に引用した“弱さ”を“近さ”に変えるとの関係と共に整理し直せば、より味わい深い創文になったでしょう。(講評=師範:竹川智子)
三席入選だったのは提出者が少なかったのかなと思いました、とは謙虚になった加藤の弁。しかし、編集天狗はもちろん結果には満足していない。物語AT賞では大賞をとる! ドイツとスペインに勝ったサッカー日本代表のように、学林局に見放されたエアサックス加藤がアップセットを起こす!と意気込んでいる。
その前にクロニクル編集術である。
稽古は順調にできている? 加藤「進めているというだけかもしれないです」。でもそれで十分じゃない。加藤「そうですね。そういう意味では変わってきているかもしれないです」。
クロニクル本として選んだ『杉浦康平のデザイン』(平凡社新書)の読み込みを誇らしげにエアサックス加藤は見せた。『多読術』や松岡校長の映像の見よう見まねだというマーキングもなかなか堂に入っている。加藤はマーキングが楽しくなってきたという。本の文章は類似でつながっていることに気づきました、それを意味の括りの連続として、他のことでもできないかと思っています、と加藤。稽古も徐々に波に乗ってきたようだ。
しかし、天狗は慢心や妥協を許さない。クロニクル編集術においても「壊す・肖る・創る」のプロセスを徹底するべし。自分史、課題本のクロニクルの歴像の抽出、3つに仮グルーピング、グルーピングしたものには安易なタイトルをつけずに何かに肖る、最後は見出しをブラッシュアップする。クロニクルでの徹底した鍛錬が、明日のエアサックスをつくるのだ。波乗り状態の加藤とはいえ、稽古の締め切りには遅れている。教室の先頭集団に追いつくのだ加藤! 天狗と加藤、2人の目はすでに遠い編集道を見ている。
【エアサックス加藤の三度目の突破】バックナンバー
■【エアサックス加藤の三度目の突破07】波乗りエアサックスの慢心を諫める
■【エアサックス加藤の三度目の突破06】たくさんの天狗とたくさんのわたし
■【エアサックス加藤の三度目の突破05】歴史的快挙そして新たなる野望(本記事)
■【エアサックス加藤の三度目の突破04】守の型を使い尽くすべし
■【エアサックス加藤の三度目の突破03】心がわりの相手は君に決めた!
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
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作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。