ミポリン、ススキノ疾駆する 第11回未知奥声文会

2019/12/02(月)19:51
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 「ふと、夕暮れ時に人気を避けたくなる。そんな時は一人で郊外のお寺に向かう」。鈴木康代(8[離])が告白する。2018年10月、第11回未知奥声文会で「境界体験」を語り合った時のことであった。

 

 「羅漢像が並ぶ墓場を散策していたら、中年男性と目が合ってびっくりした。むこうはカメラと三脚を抱えて逃げ出した。“ちりん”と鈴の音が聞こえたから、あれはきっとクマよけだよ」。

 クマが出没する寺で、夕暮れ時に散策。未知奥声文会に衝撃が走る。

 

 つぶらな瞳のミポリンこと浦澤美穂(12[離])は、学生時代を札幌で送った。原付バイクでススキノの繁華街からラブホ街を抜け、アパートのある薄暗い郊外へと疾駆していた。

 ラブホ街路上で、ニヤケたトラックドライバーと目を合わせることもあった。浦澤ミポリンの越境ぶりに、未知奥声文会はどよめいた。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

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堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。