ISIS 20周年師範代リレー [第44期 佐藤裕子 すわ、御一新!20年目のすさびぶり]

2022/01/19(水)09:00
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

 

◇◇◇

これでだめなら、日本は闇よ。日本を憂う女、幕末カノン教室の佐藤裕子が、イシス編集学校20周年の差し掛かりに登板した。時は令和元年秋、香港の一国二制度は崩壊し、首里城は焼失、海の向こうに渡った侍・イチローが大リーグを引退した。年明けにはコロナパンデミックが世界規模で迫っていた時期だ。

 

もはや待ったなし。師範に桂小五郎ならぬ桂大介を擁し、開講にあたり佐藤の決意は固かった。

「去る十月十三日、松岡校長には全国の十八教室の師範代がたを豪徳寺に集め、これについて、諮問遊ばされましたが、内々には同日、鈴木学匠が感門の詔書を教室に手交されし報らせも入っており、いまや国内を納める手段としては先手を打ち、かくなる方法より他はなし」。

黒船来航指南、薩長同盟指南、大政奉還指南、五箇条の御誓文指南、廃藩置県指南や、墨汁五滴指南など、本人はいたって真面目に熱烈に展開させ、佐藤の愉快な編集キャノンを浴びせられた学衆は、令和の志士となって巣立っていった。

 

しかし、佐藤はこれで落ち着く女ではない。離を退院後、すぐに速修師範代として再登板。現在、イシスの最後尾と荒くれは私に任せろとばかりに、48[守]しんがりスサビ教室の師範代をつとめている。松岡校長も「こいつが組織を変える」と太鼓判を押す佐藤裕子。これからなにをしでかしてくれるのか、その遊びっぷりを期待したい。

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

生きている文化と果敢にインタースコアした「粋」な教室では、平時の中で有事を感じ、有事の只中に卒門を迎えた。滅してなお生き続ける道と、感染の谷に潜むモノたちで鍛えたハイブリッドな感門之盟は、44守の「意気地」を見せた。

 

>これからメッセージ>

ハッシュタグで同化しようとする世の中に、徹底して異化を交ぜ尽くしたい。

 

幕末カノン教室 佐藤裕子

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

〇大日本帝国の創作者が描いた日本

1722夜 半藤一利『山県有朋』

…2019年10月18日

◎大アジア主義英雄たちの面影

1728夜 坪内隆彦『アジア英雄伝』

…2019年12月22日

⦿ヤバイ日本の現在小説

1736夜 多和田葉子『献灯使』

…2020年3月19日

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  • 吉村堅樹

    僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。