何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

定式幕を背景に勘亭流で記された”図夢汁講”の文字。勧進帳が流れる中、時間になると5名の学衆と師範代、学匠、律師、師範、そしてゲスト参加の花目付が、続々と画面に登場する。半七捕物帳を書いた岡本綺堂は新歌舞伎の作者としても有名だったことを踏まえた三津田恵子師範代の演出である。
まずは、自己紹介。黄鉄鉱の塊、赤い粟穂好きインコ、プリザーブドフラワーのアクセサリ、備前焼のコーヒーカップ、自らデザインした尾張・三河のインタースコアマップ、そして増殖するシマフクロウのグッスという思い思いの数寄が重なる。特に学衆・ラッセル氏が披露したマップはその出来栄えに感嘆の声が集まり、原田淳子学匠も『デザイン知』に触れながら、興味津々で質問を投げ掛ける。
ところで、三津田師範代が汁講にあたり、最初に決めたこと。それは妹の三津田知子花目付をゲストに呼ぶことだった。師範代自身にとっては身内、しかし教室にとっては異質という三津田師範代ならではの関係性を汁講に持ち込むことで、編集学校で初めての姉妹同舟汁講がここに実現した。
”それでは突破後の進路について、三津田花目付にお話しを”と三津田師範代が、少し言葉を淀ませながら、バトンを渡す。こんどは、三津田花目付が、”それでは…”と、自身の学衆から師範代までの経験を交えながら、お題、教室、そして学衆への向き合い方を語り出した。姉妹が編集学校の学衆、指導陣の前で初めて言葉を交わした瞬間である。
仕掛けはさらに続く。八田英子律師が遊講座、多読ジムなどの説明の後、”[離]についてはこの方に”とカメラを回すと、吉村堅樹林頭が現れる。会の始めから密かに参加していたのである。”編集学校に入ったら、[離]と花伝所、どちらかだけでなく、両方に進むべき”、力強い檄に学衆たちがうなずく。
”みんながAIでなくってよかった”、[破]のお稽古の合間にお互いの顔を見てホッとした学衆・ウエンディ嬢の一言にも全員で残り半分となった[破]を楽しみつつ、その先を見据えて取組む勇気が見えた2時間半となった。
2020年6月13日(土)
「半七アセット教室」汁講
◎33[花]三津田知子花目付
◎44[破]原田淳子学匠 八田英子律師 北原ひでお師範
◎半七アセット教室 三津田恵子師範代
参加学衆:大泉健太郎、小林秀行、北條玲子、村山明日香、依田真門(敬称略)
きたはらひでお
編集的先達:ミハイル・ブルガーコフ
数々の師範代を送り出してきた花伝所の翁から破の師範の中核へ。創世期からイシスを支え続ける名伯楽。リュックサック通勤とマラソンで稽古を続ける身体編集にも余念がない、書物を愛する読豪で三冊屋エディストでもある。
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コメント
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