ISIS now 遊撃するブックウェア●伍のドク:石井梨香師範【89感門】

2025/09/25(木)17:00
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伍のドク:九天玄氣組プロジェクト Qten Genki Book『九』刊行など

 

「ISIS now 遊撃するブックウェア」(第89回感門之盟)、コーナーを締める最後のドクは、九州の地、イシス編集学校九州支所九天玄氣組から。現在は[守]同朋衆として講座を支える石井梨香師範が、自らも属する九天玄氣組の発足20周年を記念するプロジェクトへの賛同を呼びかけた。

 

松岡正剛校長は九州に出かけては、九天玄氣組に謎かけのような言葉を残していったという。「九州は負を背負う宿命を持つ」などのQ(問い)をE(Edit:編集)しながら、九天玄氣組は、角川武蔵野ミュージアムの選書や編集ワークショップに携わったり、毎年、松岡校長に圧倒的な年賀を届けてきた。

 

▲九天玄氣組から松岡校長に送られた2023年のクラフト年賀「本の飾り山笠」

 

この遊集団がこのたび「三十三冊屋」という方法を編み出した。何かを表現するとき、33冊の本があれば、その世界が立ち上がるのではないか。語るのが困難な九州の方法も、本を33冊並べることで語れるのではないか。その実感を得てこの秋、Qten Genki Book『九』の刊行を企画した。『九』を中心に編集渦を巻き起こし、刊行後もずっと編集学校の内と外を混ぜ合わせるような編集装置にしたいという願いが込められているという。

 

『九』の刊行、田中優子学長を招いての刊行記念イベントの費用の一部は、クラウドファンディングでまかなわれる。混迷を極めるこの時代だからこそ、本と本、本と地域をつなぐ「土地を読む力」をはぐくむ読書が求められることだろう。九天玄氣組のチャレンジ、郷を読むキョウドクにご参加あれ。


これらのドク、1つといわず2つ、3つ、いや、5つすべてを味わうゴドクもおススメである。

 

壱のドク:『百書繚乱』と千夜千冊絶筆篇
弐のドク:『世界のほうがおもしろすぎた──ゴースト・イン・ザ・ブックス』『Birds』
参のドク:多読アレゴリア
肆のドク:ほんのれんラジオ/多読アレゴリア「ほんのれんクラブ」
伍のドク:九天玄氣組プロジェクト Qten Genki Book『九』刊行など【本稿】

 

アイキャッチ・写真/後藤由加里
文/白川雅敏

  • 白川雅敏

    編集的先達:柴田元幸。イシス砂漠を~はぁるばぁると白川らくだがゆきました~ 家族から「あなたはらくだよ」と言われ、自身を「らくだ」に戯画化し、渾名が定着。編集ロードをキャメル、ダンドリ番長。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。