何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

本棚劇場に八田英子律師が立つと、黒地のワンピース全体に施された月をモチーフにした金の刺繍が本楼の天井近くの障子から差し込む光を受ける。
「イシスで起こっている出来事は、世界のどんな出来事にも匹敵する」
55[守]の卒門を祝う「第89回感門之盟/遊撃ブックウェア」の幕開けに、律師は松岡校長が常々語っていたという言葉を私たちに手渡した。どんな些細なことにも絶対に手を抜かない。どんな小さなことでも世界と闘うつもりでやる。[守]学衆が番ボーで経験した、漢字一文字について何週間もかけて考える稽古も、これにつながっている。
松岡校長が残してくれたものは、言葉だけでなく、感門之盟が行われている本楼に本棚やオブジェなどさまざまなかたちで編集の方法として詰まっている。松岡校長から直接ディレクションを受けることができなくなった今でも、私たちは松岡校長の言葉や仕草を思い出し「校長はこう言っていた」「きっとこう言うだろう」を交わしあうことができる。
本楼の入り口にあるミラーボール。圧倒的な松岡校長のブックウェアである『全宇宙誌』をモチーフにしている。
本楼は、松岡校長が「みんなを翻弄したい」という意味で名付けたという。今日、これからはじまる感門之盟で交わされる言葉の一つひとつも、場と人を揺さぶり世界に匹敵する事件になってゆくだろう。
今日もどこからか校長が見ている。
アイキャッチ・写真/福井千裕
文/森川絢子
森川絢子
編集的先達:花森安治。3年間毎年200人近くの面接をこなす国内金融機関の人事レディ。母と師範と三足の草鞋を履く。編集稽古では肝っ玉と熱い闘志をもつ反面、大多数の前では意外と緊張して真っ白になる一面あり。花伝所代表メッセージでの完全忘却は伝説。
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
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(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
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2025-09-24
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