つながった白い糸【88感門】

2025/09/06(土)14:40
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その男は、うどんを配り歩いていた。その男とは、香川県在住の54[破]讃岐兄弟社教室・竹内哲也師範代である。彼は学衆の頃からイシスのイベントで会う人にうどんを渡し、P1グランプリではお遍路を題材にする、香川を愛する男である。そしてついに[破]では、讃岐の名をもらった。

 

ルーティンのうどん配布。本日は60個持参。

 

開講後、勧学会で好きなうどんをたずねたところ、ミシュランのグリーンスターを獲得したうどん屋「一文字うどん」の店主がいることが判明した。「一文字うどん」とZoomでつなぎ、うどん汁講が敢行され、多くの突破者を出し、P1出場も決めた。

 

P1グランプリの打合せ中の讃岐兄弟社教室の面々。

 

充実の教室模様であるが、彼は花伝所時代から[破]の登板はないと言い切っていた。それは、香川で宿泊施設をオープンする時期に重なっていたからだ。なぜ引き受けたのか。そこには原田淳子[破]学匠の「大丈夫」という言葉があったという。寝る間もおしみ指南をし、師範の手もかり、宿泊施設スタッフから白い目を向けられてもやりきった。「だまされた」と大変さを語る彼の顔は、すがすがしかった。教室の学衆は、忙しさの中で即見で返してくれた指南リズムにのせられたと語る。
彼は、今期なるべくして、師範代になったのだ。

 

※アイキャッチは讃岐兄弟社教室店主・竹内師範代と一文字うどん店主のツーショット

 

アイキャッチ・文/中村裕美(43[花]錬成師範)

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コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
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作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。