何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

編集工学研究所の社長・安藤昭子のコラム連載「連編記」の第五回をお届けします。
(社長コラム「連編記」は、「編集工学研究所Newsletter」で配信しています。Newsletterには、編集工学研究所のウェブサイトよりご登録いただけます。)
「連編記」では毎回、一文字の漢字を設定します。この一文字から連想される風景を、編集工学研究所と時々刻々の話題を重ねて編んでいきます。
今回の漢字は、「遊」。松岡校長のお誕生日に合わせて、とっておきの一字がセレクトされました。
白川静さんの『字統』には、こんなふうにあります。
“遊とは遊行移動するものをいう。「漢に游女有り 求むべからず」とは、漢水の女神が出遊することをいう。その詩は漢水の女神祭祀を歌うものである。”
この一節を読んだとき、ふわっと浮かんだイメージはドラクロワの「民衆を導く自由の女神」でした。
古代中国の文字が19世紀フランスの絵画を連れてくるのも、不思議な現象です。
“うかれ・遊びは、すべて人間的なものを超える状態をいう語であった。”
こちらも、『字統』の言葉です。
「人間的」を超越するものが遊びである。それでいて、遊びは人間文化の本質でもある。
ならば人間とは何なのか、ヒトの遊びとは何なのか。迷宮は深く、遊びに終わりはなさそうです。
「遊」から編集工学へと至る旅路を、松岡校長への愛と憧れを詰め込んで編み直した安藤社長。
その遊びっぷりも、ぜひご堪能ください。では、どうぞ。
(「連編記」配達人 山本春奈)
「連編記」 vol.5
「遊」
「遊び」と「編集」
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◆編集工学研究所からのお知らせ:
■イベント情報 『情報の歴史21』を読む 第十一弾「片山杜秀編」開催決定。
3月19日(火)19:30~22:00
音楽評論家、政治思想史研究者の片山杜秀さんをお招きして、「『情報の歴史21』を読む 第十一弾 片山杜秀編」を開催します。 テーマは、人類史と音楽史の交差点。
社会の変化や時代の動きが、どのように音楽に影響してきたのか。クラシック音楽に造詣が深く、NHKFM『クラシックの迷宮』の選曲・構成とパーソナリティを務める片山杜秀さんの歴史読みを、ぜひ楽しみにお待ちください。
→お申し込みはこちらから。
■『情報の歴史21』ご購入のご案内
『情報の歴史21』は、書籍版/PDF版ともに、弊社ウェブショップにてお求めいただけます。
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■イシス編集学校 第53期[守]基本コース お申し込み受付中です。
編集を学ぶオンラインの学校、「イシス編集学校」の第53期[守]基本コースは2024年4月28日(日)開講です。
安藤昭子
編集工学研究所 代表取締役社長
東京生まれ東京育ち。新卒で出版社に就職。書籍編集に従事するも、インターネット黎明期の気配に惹かれて夜ごとシステム部に入り浸る。javaを勉強し、Eラーニング・プログラムを開発。会社から編集者かエンジニアか選ぶよう言われ「どっちも」と言って叱られる。程なくして松岡正剛を知り、自分の関心が「情報を編集すること」にあったと知る。イシス編集学校に入門、守破離のコースを経て2010年に編集工学研究所に入社。2021年に代表取締役社長に就任。企業・学校・地域など、「編集工学」を多岐にわたる領域に実装・提供している。Hyper-Editing Platform[AIDA]プロデューサー、丸善雄松堂取締役。著作に『才能をひらく編集工学』、『探究型読書』。新芽、才能、兆し、出会いなど、なんであれ「芽吹き」に目がない。どこにでも自転車で行く。
こんにちは。編集工学研究所です。 「編集工学研究所 Newsletter」は、編集工学研究所を取り巻くさまざまな話題を配信するお便りです。代表・安藤昭子のコラム「連編記」では、一文字の漢字から連想される風景を、編集工学研 […]
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コメント
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2025-10-02
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作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。