肖女のまなざし あやか律師の声明

2020/03/14(土)23:40
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感門之盟が終盤にさしかかる。

 

校長校話を継いで、壇上には八田英子律師が登場した。自身の地元である金沢にあやかって、選んだ衣装は加賀小紋。煌めくブルーの地に小花をあしらった着物でステージに立つ。

 

八田律師は、校長校話で取り上げられたさまざまな商品(オブジェクト)をベースに、「わたしたちの身に回りにある小さなものは、世界の断片に溢れている。それは角度や見方を変えると、得体が知れなくて不思議なものかもしれない。」と語る。

 

我々は本来、謎めいたアイブロウチップやコップ、電球を当たり前のモノとしか見ていないのではないか。コップは水を入れるだけでない。楽器や武器にもなることに目を逸らしてはいないか。

「マクロからミクロ、ミクロからマクロに視点を動かす。オブジェクトにこそズームインズームを繰り返し、編集力を鍛えるべきだ」と凛々しく告げる八田律師。

 

力強いメッセージを胸に加賀小紋に散らされた美しい花々に目を凝らし、想像を働かせてみると、いまこの瞬間に別様の可能性が生まれるかもしれない。

 

“あやか律師”の輝く瞳に肖りたいと、その場に集う誰もが願った。

 

 

  • 増岡麻子

    編集的先達:野沢尚。リビングデザインセンターOZONEでは展示に、情報工場では書評に編集力を活かす。趣味はぬか漬け。野望は菊地成孔を本楼DJに呼ぶ。惚れっぽく意固地なサーチスト。

コメント

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堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。