ロックな編集を叫ぶ 番ボー講評

2019/08/01(木)22:57
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 番選ボードレール講評が出そろった。

 

 「どうぞ編集の奥地へといらしてください」。2019年7月25日夜、番匠・林朝恵が学衆に向けてメッセージを発した。「こんな編集やってみたい。そう感じた方もきっといるでしょう。その瞬間から、もう実現へのスタートを切ったも同然です」。

 

 そう言って林が紹介したのは、届いたばかりの講評から選りすぐった同朋衆の言葉たち。伝習座にローリング・ストーンズのTシャツ姿で現れ、ロックな編集を叫ぶ林ならではの、心に火をつける言葉の選択だった。

 

 このメッセージは、もう一人の番匠・景山和浩から「林番匠の締めの挨拶があるといい」という半ば強引なオファーに応え、即座に編集したものだった。

 

 番匠がいつも用意周到に連携しあっているかといえば、そうではない。相手を引き立てながら、自らも演奏を楽しむジャズプレーヤーのように、以心伝心のアドリブ編集を加えることもある。

 

 ロックの熱狂とジャズの即興を兼ね備えた林朝恵の番匠編集は格好いい。

  • 景山和浩

    編集的先達:井上ひさし。日刊スポーツ記者。用意と卒意、機をみた絶妙の助言、安定した活動は師範の師範として手本になっている。その柔和な性格から決して怒らない師範とも言われる。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。