何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

「現代の技術では七重塔の建設は不可能です」。多くの寺社建設を手掛けた大浦氏が語る。「この石は国分寺の七重塔の心礎です」。肥後考古学会会長が示す。ここは熊本の名勝水前寺公園からほど近くに位置する肥後国分寺。住職の宮田氏は「七重塔守」を名乗り、塔の復興を悲願としている。彼らは2019年11月23日に開かれた第1回肥後国分寺サミットの登壇者であり、宮田住職は主催者でもある。
国分寺は聖武天皇の詔によって全国に建立された。毘盧遮那仏から全世界に“帝網”というネットワークが広がっていくという華厳世界の理念にならい、東大寺を中心とする国分寺ネットワークが構築されたが、現在そのままの姿で残る寺は一つもない。
肥後国分寺は一度途絶えたが、室町時代に禅寺として再興され、現在は曹洞宗の寺として存続している。2016年の熊本地震での瓦、壁、天井などの損傷を乗り越え、地域の人たちが集まる場所となっている。第1回サミットには近隣の商店会会長や町おこし・語り部活動に関わる人々、講師の友人や知人などのべ40名が参加した。
講師の案内で寺の周辺を歩く。駐車場脇の砂利道に落ちている布目瓦が奈良時代の寺に使われたものだと聞き、民家の庭に建つ国分尼寺跡の石碑を見て、歩いていくうちに、いつもの風景の下に奈良時代の存在が浮かんでくる。
布目瓦
宮田住職からの依頼でサミットの企画に関わったのは、イシス編集学校九州支所九天玄氣組の組員、熊本市在住の光澤大志(25[守])だ。2011年の加入当初から熊本八代の妙見祭や新潟での座禅レポートを支所ラウンジに投稿するなど、フットワークが軽く、やたらと本を読んでいる青年であった。その後、輪読座のバジラ高橋こと高橋秀元の弟子としてアーナンダーを名乗り、九州や出雲でバジラツアーを5回も企画しアテンドする強者に成長した。本人曰く「これまで一つの組織に属した最長記録は小学校の6年間だった。九天はそれを越えた」そうだ。地元で頼りにされはじめた光澤を応援すべく、サミットには福岡市住の組員3名(門倉、出崎、石井)も駆けつけ、奈良時代の熊本に触れた。
国分尼寺跡を見学するサミット参加者。左端の黒いトレーナーの青年が光澤。
第2回では歴史をもっと遡ることを目論んでいるようだ。次は何を目指すのか、七重塔の復興はなるのか。冒頭の大浦氏は「住職の積み立ても少しずつ増えているようなので、いつか建つかもしれませんね」と講演を結んだ。
2/22(土) 編集ワークショップ「エディットツアースペシャル」熊本開催
光澤大志も参加!
石井梨香
編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
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(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。