43[破]汁講レポ:白熱!リアル編集稽古

2019/12/27(金)09:09
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 物語編集稽古の翻案に対し「原作の焼き直しを根絶する!」と宣言したかどうかはさておき、汁講でのリアル編集稽古に比叡おろし教室のふくよ(福田容子)師範代は燃えていた。今や汁講の定番プログラムとなったリアル編集稽古は、お題の理解を深め、稽古の充実をもたらす貴重な時間だ。

 合同開催となるタクラミ草紙教室の阿久津健師範代は、翻案のためのワーク資料として、千夜千冊0778夜『建築書』(ウィトルー・ウィウス)、1542夜『借りの哲学』(ナタリー・サルトゥー=ラジュ)を使うことを考えていた。原作にある物語から何を借りるのか、自身が学衆だった40[破]当時の野嶋真帆師範のレクチャーで、ハッと気づいた瞬間があったという。そのときの思いも含めて伝えたいと企んでいた。

 12月22日(日)、汁講当日。阿久津師範代による千夜の紹介に続き、リアリティのある世界をどう描くのか、ふくよ師範代リアル編集稽古は、『物語編集術』の第一章「ワールドモデル(世界構造)」の共読から始まった。

 

 「ワールドモデルって、メッセージがないと作れないんじゃないですか?」。口火を切ったのは、タクラミ草紙教室の高木さん。そこに翻案での行き詰まりを感じていた比叡おろし教室の羽根田さんが、悩みを打ち明けた。「伝えたいメッセージがあるけど、ワールドモデルにうまく嵌まらないというか…」。問いの重なりがメッセージに対する共読を深めていく。顔を見合わせる学衆に、渡辺高志師範も言葉をかける。「メッセージって変わっていくんじゃないのかな。知文で学んだ書けないものに向かっていくように」。

 メタファーでワールドモデルを読み解こうとしたのは、比叡おろし教室の角山さんだった。「それって『箱庭療法』みたいなもので、組み上がるものにメッセージが立ち上がってくるんじゃないの。違っていたら、ほかの箱に変えることもできそうだし」。編集が動き出し、ふくよ師範代の顔がほころぶ。「そうそう。載せるものによって箱を変える。お盆なら、お菓子によって、木のお盆から銀色のトレーに移し替えてみるとかね」。

 

稽古熱は冷めやらず。懇親会の店に舞台を移し、延長戦に突入した。


2019年12月22日(日)
「比叡おろし教室、タクラミ草紙教室」合同汁講
◎43[破]原田淳子学匠 八田英子律師 渡辺高志師範
◎比叡おろし教室 福田容子師範代
 参加学衆:角山祥道、勝浦航、木田俊樹、羽根田月香、渡邊紗羅(敬称略)
◎タクラミ草紙教室 阿久津健師範代
 参加学衆:岩田香純、清水瑛美子、高木文堂、水原三香(敬称略)

  • わたなべたかし

    編集的先達:井伏鱒二。けっこうそつなく、けっこうかっこよく、けっこう子どもに熱い。つまり、かなりスマートな師範。トレードマークは髭と銀髪と笑顔でなくなる小さい目。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。