43[破]汁講レポ:校長本との対面に狂喜乱舞のはずが…

2019/12/26(木)14:08
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 「汁講で工作舎時代の希少本の一部を見せていただけると聞き、狂喜乱舞しております」(43[破]別院投稿企画/思い出深い「あの言葉」より)

 

 編集工学研究所(豪徳寺)で開催される汁講での楽しみのひとつに、松岡校長が工作舎時代に手掛けた本やマーキングされた書籍に触れられることが挙げられる。校長に憧れて入門した学衆にとっては、稽古の励みになり、卒門・突破後の学びの後押しにもなる。

 12月21日(土)、嶋本昌子師範代の羅甸お侠教室と辻井貴之師範代の転界ホログラム教室との合同汁講にも、校長本との出会いを心待ちにしていた学衆がいた。それが、別院での投稿企画に自ら鉄砲玉と名乗り駆けつけた神戸さん(羅甸お侠教室)だ。

 

 汁講の終盤、テーブルの上に1971年創刊のオブジェマガジン『遊』や『全宇宙誌』(1979年)、『遊学大全』(1980年)などが並べられた。『全宇宙誌』は、クロニクルの課題本『杉浦康平のデザイン』にも紹介されているが、稀覯本で神戸さんも目にするのは初めてだった。クロニクルの編集稽古を通じて、自身の人生に影響を与えた杉浦氏のデザインに、神戸さんの気持ちが昂ぶる。

 

 さらに、心を奪われたのが『世界のグラフィックデザイン 1 ヴィジュアルコミュニケーション』(1976年)。垂涎の一冊だ。函から取り出して表紙を開けば、杉浦康平氏と松岡校長のサインが現れた。端然とした文字の佇まいに、神戸さんの巨躯は固まった。ページをめくる手はゆっくり、時に止まる。喜びを通り越して、ため息が交じる。

 

 「はぁ~。いいなぁ。これを眺めながらお酒を飲みたいです」。


 2019年12月21日(土)
 「羅甸お侠教室、転界ホログラム教室」合同汁講
 ◎43[破]原田淳子学匠 八田英子律師
 ◎羅甸お侠教室 嶋本昌子師範代 渡辺高志師範
  参加学衆:神戸七郎、玉井佑治、林春薫、脇ゆかり(敬称略)
 ◎転界ホログラム教室 辻井貴之師範代 大場健太郎師範
  参加学衆:小林陸、佐塚琴音、徳應学、乗峯奈菜絵、山田立郎(敬称略)

  • わたなべたかし

    編集的先達:井伏鱒二。けっこうそつなく、けっこうかっこよく、けっこう子どもに熱い。つまり、かなりスマートな師範。トレードマークは髭と銀髪と笑顔でなくなる小さい目。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。