校長の書斎で見たもの

2019/12/09(月)13:51
img PASTedit

 女性が2~3歩机に近寄った瞬間、「あっ、ダメよ」と鋭い声が飛んだ。

 三階の入口にある松岡校長の書斎を木村学匠(当時)が案内していた。師範代と学衆が身を乗りだして部屋を見回しはじめたので、「触らないように」と注意された直後のことだった。

 書斎には、千夜千冊執筆途中の原稿と参考文献、横の本棚にはナンバリングされた原稿ファイルが並ぶ。近づきすぎた彼女と机までの距離は約50センチ。校長本人が座っていたらもっと離れていただろう。主がいなくとも、そこは千夜千冊執筆の舞台なのだ。

 空間、気配、間合いを知る体験。33破汁講でのワンシーン。

 

  • 吉野陽子

    編集的先達:今井むつみ。編集学校4期入門以来、ORIBE編集学校や奈良プロジェクトなど、18年イシスに携わりつづける。野嶋師範とならぶ編集的図解の女王。子ども俳句にいまは夢中。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。