花伝所がスカウトしたい“才”とは?【78感門】

2022/03/31(木)09:32
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 ついに花伝所が動いた。第78回感門之盟。インタビューという名のタレントスカウト。差し掛かりのキワで尻込みしている“才(タレント)”たちを編集コーチの養成コースである花伝所に呼び込まんとするのは所長田中晶子と深谷もと佳・林朝恵の両花目付だった。

 その公開スカウトの場に声をかけられたのは、いずれも師範代からのお墨付きの突破者三名だ。しかし才気あふれる彼らがインタビューで放った言葉はやや意外なものだった。


 「自分は突破できないと思っていた」。そう語るのは泉カミーノ教室の鍋島知将。そんな鍋島を支え続けていたのは[守]や[破]の同期や師範、師範代の存在だったという。時たま音だま教室の高本沙耶は自身の編集を「自分は何も持っていない。だから今あるものをどう使えば最大限に面白くなるかを常に意識している」と分析してみせた。師範や師範代から「場にある情報を自分なりに言い換えるのが抜群にうまい」と評される秘訣が垣間見えた瞬間だ。

 己の“内”にあるものだけに頼るのではなく、“内”にある不足ごと“外”と繋がることで編集道を突破してきたことが伺える。

 

 恩師の指南における知られざる悩みを知って涙ぐんだ万事セッケン教室の山田環は「学衆と師範代の一番の違いは何か」と花伝所スカウト陣に問う。

 深谷花目付は「学衆は問いを与えられるだけ。しかし師範代は問いを相手に“返”していく」のだと言う。その方法を学んでこそのイシスクオリティだと言い切る。また「編集人ならば自分のためではなく、誰かの依り代のような存在になってほしい」と伝えるのは林花目付だ。次世代の学衆のために師範代となって編集を伝えることの重要性を訴える。
 「様々な障害のようなものがあればあるほど花伝所をお薦めしたい」という田中所長の想いには、不足から生まれる編集に対する確信が広がっている。

 このスカウト陣の熱い想いに背中を押されるように、三名の突破者のうち二人はすでにこの春開講の37花に入伝を決意した。
 花伝所は彼らを含むたくさんの“才”と共に歩き出す。「ない」から「成る(なる)」を経て「ある」へ向かっていく。

撮影:後藤由加里

  • 神尾美由紀

    編集的先達:手塚治虫。タップダンスにベリーダンス。北海道が生んだ編集的に踊れる師範。感門之盟でも舞台でタップを披露してみせた。ふわっとした見た目だが、リアルワークにも定評あり。自称・お子ちゃまで教室名にピノコを冠する。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。