何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

『情報の歴史21』で追加された1996年。当時の若者の未知は海外にあり、『深夜特急』とパスポートを手にバックパックで個人旅行に出ることが自分の世界を広げる方法だった。現在パスポートはスマホに代わり、手のひらでタップすれば世界にアクセスできる時代。1996年前後に生まれたイシスiGenたちもiPhone、iPad、iPodを編集のお供にして世界と対峙をしている。
手中のデジタル世界にはうめこが台所で読み耽った『さびレズ』の生きづらさもあれば、中村が興奮したアナロジー解読の地図もある。網口はスマホには目もくれず黄色い『ナショジオ』に首ったけのようだが、一方で穂積は「#」運動はスタイルや文化を細らせると読む。パスポートのスタンプが世界との接点であった時代を思えば、彼らの情報との付き合い方は超高速である。その速さは東京から大阪までリニアで1時間の比ではない。それ故にiGenの編集をキックしたものは、生命、霊感、膜というのは面白い。カトメグに至っては通りすがりの人の注意のカーソルに憑依までしてしまう。ここに彼らが《編集》に夢中になる秘密があるのだろう。
NEXTからDAN ZENへ。これからのイシスをダンゼン・ダントツにするために番記者うめこは知文術を武器に掲げる。ミュージシャンの上杉、梅澤、穂積は音や聴覚、サイボーグカトメグは 技術×認知科学に編集可能性を賭ける。以前より若者の会を作りたいと言っていた中村はiGenで全講座乗っ取りを目論見、街から消えていく風景にノスタルジーを感じている網口は七輪で日本を取り戻そうとしている。一見バラバラに見えるが、むしろ個別性があるからこそつながれるところがiGenっぽいとも言える。だとしたら彼らはデジタルバックパッカーとも言えようか。パティキュラリゼーションを輝かせてイシスの最前線に立つiGenたちの編集革命にますます注目されたし。
■シリーズiGen~イシスをDAN ZENにする7名~
001:穂積晴明 外郎売りからDJまで 多芸多才のデザイナー
003:梅澤光由 全身義体を夢見る エディトリアルジャズピアニスト
004:網口渓太 関西弁のミク太郎 憧れ力で起動する編集少年
005:梅澤奈央 獲物はイジって逃さない 言葉フェチの人気記者
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
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