師範・桂大介が語る NTTデータ研修

2019/09/03(火)12:00
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 動くたびにバルーン袖が揺れる。NTTデータ研修の講師は、桂大介師範だ。キュートなモードと起業家の肩書は、受講生の既成概念を冒頭から揺さぶる。


 千夜千冊第1604夜『勝手に選別される世界』がスクリーンに映る。「今の社会では、検索数や評判数が価値そのものかのように勘違いされていますよね。実のある意味の束や価値をビッグデータからいかに発見するか、それが本日のテーマです」


 コップのお題で広がる多様な見方が、受講生の別様の思考回路を開く。新たな価値を引きだす型のワークを経て、講義は情報の構造化へ向かう。ここで桂師範は、非定型なデータから意味を発見する型を紹介する。誰の心にも備わった物語回路だ。

 

 ヒット商品の実例を読み解き、人間の欲望やその解決の鍵を握る物語母型を浮き彫りにする。私たちの思考法や価値観を支える物語の普遍性と共感力をユーザー体験と重ねる。新しい価値をデザインする情報の見方と仮説の両輪が揃い、一日研修は終わった。

 

 部屋を出ていく社員が桂師範に語った。「編集学校で型を学んで、仕事に生かしたいと思います。ミーティングをやっても堂々巡りのことが多いんです」。

 

  • 丸洋子

    編集的先達:ゲオルク・ジンメル。鳥たちの水浴びの音で目覚める。午後にはお庭で英国紅茶と手焼きのクッキー。その品の良さから、誰もが丸さんの子どもになりたいという憧れの存在。主婦のかたわら、翻訳も手がける。

  • 編集用語辞典 21 [BPT]

    「この場所、けっこうわかりにくいかもしれない」と書かれた看板を手にした可愛らしい男の子のイラストが、展覧会場の入り口に置かれている。眉根を寄せて地図を見ているその男の子を通り過ぎ、中へ進むと「あなたをずっとまっていたのか […]

  • 編集用語辞典 20 [イメージメント]

    八田英子律師が亭主となり、隔月に催される「本楼共茶会」(ほんろうともちゃかい)。編集学校の未入門者を同伴して、編集術の面白さを心ゆくまで共に味わうことができるイシスのサロンだ。毎回、律師は『見立て日本』(松岡正剛著、角川 […]

  • 編集用語辞典 19[ISIS(イシス)]

    陸奥の真野の草原遠けども面影にして見ゆといふものを   柩のようなガラスケースが、広々とした明るい室内に点在している。しゃがんで入れ物の中を覗くと、幼い子どもの足形を焼成した、手のひらに載るほどの縄文時代の遺物 […]

  • 編集用語辞典 18[勧学会(かんがくえ)]

    公園の池に浮かぶ蓮の蕾の先端が薄紅色に染まり、ふっくらと丸みを帯びている。その姿は咲く日へ向けて、何かを一心に祈っているようにも見える。 先日、大和や河内や近江から集めた蓮の糸で編まれたという曼陀羅を「法然と極楽浄土展」 […]

  • 編集用語辞典 17 [編集思考素]

    千夜千冊『グノーシス 異端と近代』(1846夜)には「欠けた世界を、別様に仕立てる方法の謎」という心惹かれる帯がついている。中を開くと、グノーシスを簡潔に言い表す次の一文が現われる。   グノーシスとは「原理的 […]

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。