本が棲む生態系 DONDENの挑戦

2019/10/24(木)10:37
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 2017年4月、近畿大学アカデミックシアター内にDONDENがオープンした。監修は松岡正剛、編集工学を駆使した図書館である。


 現在、あらゆる学問分野で、既存の枠組みの組み替えが求められている。DONDENは、社会の動向と学生のニーズをくみ取った分類法を採用し、マンガを中心に新書・文庫約4万冊を所蔵。「職業」「宇宙工学」「歴史」といった本棚がひしめく。五感を使うマンガで遊びつつ、より深みへ向かう。DONDENのねらいは「知のどんでん返し」だ。


 人気作品『キングダム』(原泰久、集英社)のように、連載中のマンガもある。オープン当時は34巻だったが、現在は55巻まで増殖している。DONDENはまさしく本が棲む生態系だ。「生命に学ぶ、歴史を展く、文化と遊ぶ」編集の成果が、この情報空間にある。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

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堀江純一

2025-10-02

何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

川邊透

2025-09-30

♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。

若林牧子

2025-09-24

初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。