何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

神社にステンドグラスがある。金沢は浮気性だ。金沢の人びとは列をつくってバスを待たない。法規より風習が優先される。
なぜ、金沢は伝統的なものに新しいものを取り入れるのか。あるいは、規則をつくっても旧習を崩さないのはなぜか。よそ者の言葉が、金沢の謎の本質をえぐった。
「鈍感だからではないですか?」
2021年4月4日、エディットツアー『かくれた金沢』が開催された。編集ワークの内容は、これまであまり語られていない“金沢らしさ”を探すことだ。参加者の大半は、東京、愛知、岡山、香川、と県外からであった。旅行ガイド本には載らない金沢の日常的風景から、“金沢らしさ”を掘り起こしていく。
“金沢らしさ”のステレオタイプといえば、城下町の風情があり、和の趣をもち、美術工芸が盛んな町、というものだ。その背後には、金沢独自のカラーマネジメントがある。たとえば、主に加賀友禅や九谷焼に代表される5色の伝統色「加賀五彩」。加賀五彩は、海や山に囲まれた豊かな自然と恵み、曇りがかった北陸特有の気候、加賀百万石の武家文化を映し出す。しっとりと落ち着いた色調を映えさせるための「白」の使い方にも妥協しない。金沢は色で「らしさ」を飾りつけ、雅な世界を築いてきた。
よそ者の注意のカーソルは、“雅”というステレオタイプをよそに、金沢にひそむ鈍感さを突いた。
中川は知っている。鈍感と指摘されても、金沢は余裕綽々なのだ。加賀百万石の末孫はあくまで、武家の精神性や技芸の文化のなかに自分の存在の質を求める。しかし、それもまた「金沢の鈍感力」という見方を裏付ける。金沢を深掘りするエディットツアーは、余計なところに行きついてしまった。
(写真提供:金沢市)
中川将志
編集的先達:デヴィッド・ボウイ。地域おこしと教育に情熱を燃やす、金沢のスターマン。サッカーで鍛えた脚力と小技を編集に生かす。愛嬌とマイペースと逃げ足の速さでは、他の追随を許さない。
コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。