何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

春の嵐のように、その男は突然やってきた。 感門初日の深夜25時。1本のメールに品川未貴(46[守]四次元カフェ教室師範代)は驚いた。 品川と齋藤は「46[守]チーム夾綺らんでぶ~」の仲間で、以前から交流はあった。初日の冒頭、通信トラブルで幻となった支所中継だが、一瞬映った九州会場は品川が経営するアートカフェ(福岡市アジア美術館内イエナコーヒー2号店)だった。齋藤はそこで感門2日目を迎えたいという。だが、齋藤は知らなかった。九州会場は初日だけのしつらえだったということを。 品川はあわてた。夕刻からはカフェ警固店での仕事があり、自分1人では応接できない。中野由紀昌(九天玄氣組組長)に深夜の電話で相談するが、中野も瓢箪座からの中継があり、そうそう動けない。 そこからは電光石火で、九天の心あたりの組員に連絡がまわる。東京からのお客人を無下にしては九天の名折れである、誰か動けないかと。結果、品川と三苫麻里(45[守]中洲マリリン教室師範代)がアジア美術館アートカフェにて、齋藤を迎えることとなった。 2日目の昼刻。卒門式を無事終えた朗らかさをまとって齋藤はあらわれた。カフェのテーブルでパソコンを開きさっそく感門に見入る。 46[守]メンバーにとっての、この日のハイライトは出世魚教室名の発表だ。誰が46[破]の師範代となり、教室名がいかなる出世をとげるのか気になるのが当然だろう。そして、品川の新教室名もここで発表されるのである。 「新教室名は互次元カフェ教室です」 思わず破顔する品川。 『互次元!もっと交わっていってくださいね!背後に、なんと、らっかろー齋藤師範代が映り込みました!』 書き込んだのは「チーム夾綺らんでぶ~」担当の若林牧子師範だ。ほんの一瞬だけ映り込んだ齋藤の姿を見逃さなかったのだ。ものすごい注意のカーソルの発動である。 ★ 2日目の夜、齋藤を囲むZOOM歓迎会が開かれた。 速修は、通常38題17週間のところを13週間で駆け抜け、初めの一ヶ月は毎日出題というハイスピードコースだ。学衆の数も、いいちこは11名、落花狼藉は14名と通常より多かった。この指南生活がどれほど苛烈なものか、師範代経験者ならば容易に想像がつくだろう。 しかしそれを語る2人の笑顔は力みが抜け落ち、なんとも晴れやかだ。 さて、そもそもなぜ齋藤は突然の九州訪問を思い立ったのだろう。当然、その質問がぶつけられる。 「もし齋藤さんに何かあったときは、私が代わりにやります」 齋藤はこの品川の心意気に感じて、いつか返礼をしたいと思っていた。 期をともにした師範代同士の友情を聞いて、皆が胸をうたれた。 感激が場を満たすなか、誰かがふと「齋藤さん、その胸の文字は何ですか?」と尋ねた。 あまりにもその通りすぎて、座は一転、大爆笑となった。 九州に嵐を巻き起こし、落花狼藉オトコは東へと帰っていった。
文:三苫麻里
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石井梨香
編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。
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コメント
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2025-10-02
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2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
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