何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

三軒茶屋の住宅街の一角に建つごくごく普通の一軒家。門をくぐると、印象が一変する。真っ赤な襖に、版画に囲まれた板張りのリビング。江野澤由美師範代の運営するこのサロンで、「色」を切り口に編集術の力を体感するエディットツアーが開かれた。
今ここにいる部屋の眺めもちょっと色を意識するだけで見え方が変わる。例えば、床、テーブル、壁。それぞれが同じ木製だとしても、それぞれの木の色の違いにだんだん気が付いてくる。
あるいは「おいしそうな色」というフィルターをかければ、ドアはチョコレートに変身。編集術を使うとガラリと見方がカワル。見方がカワルと違いがワカル。5名の参加メンバーは「たしかに!」「それもあったか!」と目からウロコの様子だ。
次の稽古では部屋の中の色から「サマースイーツ」を連想し、そのスイーツから3色を取り出す。詩歌に遊ぶ私塾を開いているダンディな男性は、時間軸で浮かび上がるグラデーションを発見した。
かき氷の真っ白な氷、仕上げの苺色の鮮やかなシロップ、食べて溶けた水彩の薄紅色。今度はその3色でファッション塗り絵を染めていく。ベースの白と薄紅色の洋服に、シロップの苺色はアクセントのボタンや靴紐の色に置きかわる。
ぼんやりと眺めているだけでは見えなかった情報も、捉えなおして関係づけていくうちにお洒落な着こなしアイデアの一丁あがり。編集のチャンスはふだんの生活の中に山ほどある。
江野澤由美
編集的先達:堀内誠一。寝る前の香水は欠かさず、そのカラフルな色香で中小企業の社長を骨抜きにするコンサル&プランナー。薔薇は咥えない情熱のフラメンコダンサーでもある。野望は編集スナックのママ。
コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
♀を巡って壮絶バトルを繰り広げるオンブバッタの♂たち。♀のほうは淡々と、リングのマットに成りきっている。
日を追うごとに活気づく昆虫たちの秋季興行は、今この瞬間にも、あらゆる片隅で無数に決行されている。
2025-09-24
初恋はレモンの味と言われるが、パッションフルーツほど魅惑の芳香と酸味は他にはない(と思っている)。極上の恋の味かも。「情熱」的なフルーツだと思いきや、トケイソウの仲間なのに十字架を背負った果物なのだ。謎めきは果肉の構造にも味わいにも現れる。杏仁豆腐の素を果皮に流し込んで果肉をソース代わりに。激旨だ。